“魔術師SWAT”戦略ゲーム『Tactical Breach Wizards』開発者、売れ行き好調ながら「喜びと苦しみ」を明かす。マッハで10万本売れた現代社会魔術バトルゲーム

Suspicious Developmentsが手がけた戦略シミュレーションゲーム『Tactical Breach Wizards』が非常に好調のようだ。開発者がローンチとその後を振り返る動画を公開し、幸運だったと述べている。

Suspicious Developmentsが手がけた戦略シミュレーションゲーム『Tactical Breach Wizards』が非常に好調のようだ。開発者のTom Francis氏は11月22日、本作のローンチとその後を振り返る動画を公開し、本作の成功は幸運だったと述べている。

同スタジオは、ステルスパズルゲーム『Gunpoint』や、アクションシューティングゲーム『Heat Signature』といった人気作を手がけたことで知られる。本作『Tactical Breach Wizards』は2019年に発表され、それから約5年を経て今年8月23日にPC(Steam)向けにリリース。本稿執筆時点で、Steamユーザーレビューでは約6700件のうち98%が好評とする「圧倒的に好評」ステータスを獲得している。

『Tactical Breach Wizards』は、魔法が存在する現代世界を舞台にした戦略シミュレーションゲームだ。物語主導のキャンペーンモードが用意され、プレイヤーは現代的な装備に身を包んだ魔術師の寄せ集め特殊部隊を率い、街を支配する権力者や民間軍事会社など、さまざまな勢力との戦いに臨む。

プレイヤーキャラクターには全5体の魔術師が登場。銃やグレネードなどの武器を扱うほか、キャラクターごとに固有の魔法スキルが存在し、たとえば武器攻撃に特殊効果を付加したり、犬に変身して敵を欺きつつ襲ったり、魔法のほうきで窓から窓へ移動したり、囮となる幻影を設置したりなどが可能。一方で敵の中にも、魔法を扱う者が現れる。

ステージにはさまざまなレイアウトの部屋が用意され、ドアを破って突入するとゲーム開始。バトルはターン制にて進行し、的確な位置取りと各種スキルを駆使し、また仲間のスキル効果との連携も活かしながら、敵の殲滅を目指す。いつでも巻き戻しが可能のため、さまざまな戦略を試すことができる。

本作は、発表から約5年を経た今年8月23日にPC(Steam)向けに発売。先述したように非常に高い評価を獲得し、発売から約1か月後には売り上げ10万本を突破したという。開発者のTom Francis氏は今回公開した動画にて、近年業界内ではゲームがなかなか売れなかったり職を失ったりとさまざまな困難が報告されており、本作で成功を収められたのはこの上ないほど幸運だったと述べる。とはいえ開発で燃え尽き、発売前後には大きなストレスを抱え、その辛い状態から回復するまでに長い期間を要しているとのこと。

本作の成功の理由については、ゲーム開発者向けマーケティング情報などを提供するGameDiscoverCoの創設者Simon Carless氏が今年9月、Francis氏への取材をもとに報告している。ひとつは、“魔術師SWAT”という引きの強いコンセプトを端的に表した『Tactical Breach Wizards』というゲームタイトルそのものだ。Francis氏は、それを聞いただけで買うと言ってくれた人もいたと振り返り、成功の半分はこのタイトルのおかげだとしている。

またFrancis氏は、もともとは自動生成を活かした作品にするつもりであったが、魔術師たちの物語を掘り下げる方向へシフトしたことも功を奏したと説明。実際、作中で展開される彼らの機知に富んだやり取りは、プレイヤーからも好評だ。加えてCarless氏は、ターン制戦略ゲーム要素を部分的に取り入れた作品はあまり売れない傾向にある一方で、SWATをテーマにした作品は好調なものが多く、魔術師というヒネリと共にこれらの要素を絶妙に組み合わせたことも大きかっただろうと分析している。

ちなみに、現時点で本作は英語にしか対応していないこともあってか、売り上げのほとんどは米国や英国など英語圏からという状況だという。Francis氏は、アジアでは多くの売り上げが期待できるかもしれないが、本作の内容は文化的にアジア圏とは馴染みが薄いという理由から、ローカライズには消極的だそうだ。また今後について同氏は、休暇を過ごしたのちに次なる作品に取りかかるとし、『Outer Wilds』のようなジャンルの作品のアイデアがあると明かしている。

『Tactical Breach Wizards』は、PC(Steam)向けに配信中。現在開催中のSteamオータムセールの対象となっており、12月5日までは20%オフの1840円(税込)にて購入可能だ。

Taijiro Yamanaka
Taijiro Yamanaka

国内外のゲームニュースを好物としています。購入するゲームとプレイできる時間のバランス感覚が悪く、積みゲーを崩しつつさらに積んでいく日々。

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