Ubisoft、サービス終了した『The Crew』を巡り米国ユーザーに訴えられる。完全にプレイ不可となった余波が法廷にも
今年サービス終了したUbisoftのオープンワールドレーシングゲーム『The Crew(ザ クルー)』を巡り、米国のユーザーが同社を相手取り訴訟を提起した。海外メディアPolygonなどが報じている。
本作は、PC/PS4/Xbox One/Xbox 360向けに2014年12月に発売された作品だ。米国を舞台にしたオープンワールドマップにて、さまざまなレースミッションやオンライン対戦を楽しめる。その後シリーズ化され、第1作目である本作は今年3月にサービスが終了された。
『The Crew』は1人でプレイすることも可能ではあったものの、常時オンライン接続を必須とする仕様により、上述のサービス終了に伴うサーバーの停止によって、ユーザーは完全にプレイ不可となった(関連記事)。この件を巡り、米国カリフォルニア州東部地区連邦地方裁判所にて11月4日、同州在住の2人の原告がUbisoftを相手取り提訴した。
原告は、それぞれ2018年と2020年に本作のパッケージ版を購入したユーザーだという。訴状にて原告は、本作のサーバーがいずれ停止され、オフラインではプレイできなくなることをあらかじめ知っていれば、同じ条件(価格など)にて購入することはなかったと説明する。また、Ubisoftはユーザーに対し、ゲームのライセンスが与えられているだけであるにもかかわらず、ゲームを所有しているものと誤解させ、さらにパッケージ版ディスクのゲームファイルには自由にアクセス可能だと虚偽の説明をしたと主張。これは、カリフォルニア州の消費者保護法に違反する行為だと訴えた。
原告側は訴状の中で、本件をピンボールマシンに例えて説明している。購入したピンボールマシンを数年後にプレイしようとしたら、あらゆるパーツがなくなっており、それはメーカーが家に押し入ってプレイできないように取り外していたため。これと同じことが、『The Crew』で起こったのだと主張した。そして裁判所に対し、原告をクラスアクション(集団訴訟)の代表として認定することや、金銭的救済および損害賠償金の支払いをUbisoftに命じることなどを求めた。
『The Crew』のサービス終了は、サーバーインフラの維持やライセンス契約の問題などを理由として決定。ただ、完全にプレイ不可となることには、ユーザーから大きな反発の声が上がった。同様の常時オンライン必須ゲームは近年増えつつあり、当時には消費者保護およびゲーム保存の観点から、各国政府に訴える署名運動「Stop Killing Games」が立ち上げられたことにも注目が集まった。
なお、Ubisoftはエンドユーザー使用許諾契約書にて、製品は使用が許諾されたものであり、販売されたわけではないと明記している。本訴訟でも言及されたゲームのライセンスに関連しては、米国カリフォルニア州で今年9月にとある州法が制定。ゲームなどのデジタルコンテンツの販売時に、それが永続的な所有権の提供ではなくライセンスの供与にあたる場合には、「購入」のような言葉を示すことはできないという内容だ。これを受けてかSteamでは、「製品ライセンスの付与」であることを示す注意書きが支払い前画面に追加された(関連記事)。
今回の訴訟についてUbisoftは、海外メディアPolygonの問い合わせに対しコメントを拒否したとのこと。ちなみに、続編である『The Crew 2(ザ クルー2)』や『The Crew Motorfest(ザ クルー:モーターフェス)』に関しては、オフラインでもプレイできるモードの提供について同社において検討されている。