Steamにて、“OS内部”で動くアンチチート技術の情報公開必須に。ユーザーと開発者双方の声に応えて
Valveは10月31日、Steamで配信されるゲームで使用されるアンチチート技術について、その情報をストアページ上でユーザーに開示する新たなツールを、開発者向けに導入したと発表した。特にカーネルレベルで動作するアンチチート技術に関しては、以後情報開示が必須となる。
この新ツールは、使用アンチチート技術についての情報をより適切に開示したい開発者、およびその情報透明性を求めるユーザー双方からの要望を受けて導入されたという。
Steamのストアページでは、これまでは「サードパーティーのDRM」というカテゴリの中で、コピーガード技術などと共にアンチチート技術についても情報開示されてきた。一方で今後は、アンチチート専用の新たなカテゴリが追加され、そこで使用アンチチート技術の情報を開示するかたちとなるようだ。
そして、ゲームのクライアントと共にユーザーのPCにインストールされ、カーネルレベルで動作するアンチチート技術については、ストアページでの情報開示が必須とされた。すなわち、より強い権限をもってユーザーのPC内の状況を監視し、不正な挙動を検出するタイプのアンチチート技術である。たとえば、Denuvo Anti-Cheatや、『Call of Duty』シリーズで使用されているRICOCHET Anti-Cheat、『VALORANT』のVanguard、『Apex Legends』などで採用されているEasy Anti-Cheatなどがある。
カーネルレベルで動作するアンチチート技術は、チート対策としては効果的だとされる一方で、OSへの高いアクセス権を与えることからユーザーにとってはセキュリティ上の懸念もある。また一部のアンチチート技術においては、その導入によってゲームのパフォーマンスに悪影響を及ぼすのではないかとの指摘もみられ、採用ゲームへの不評レビューにつながることも。こうした状況から、Steamでは情報開示が必須とされたのだろう。
一方で、サーバー上で動作するなど、カーネルレベルで動作しないアンチチート技術に関しては、Steamストアページ上での情報開示は開発者の任意とされた。Valveとしては、どのような技術であれ情報を開示することが望ましいという立場とのこと。カーネルレベルで動作するアンチチート技術の情報は、ストアページ上で強調表示され、そうでないアンチチート技術については通常表示される。
今回開発者向けには、ストアページの設定のひとつとしてアンチチートの項目が用意。すでにアンチチート技術について情報公開していた場合でも、特にカーネルレベルで動作する技術である場合には、新たに設定し直して適切に情報を開示することが求められる。