ゲーマーコミュニティによるハラスメント騒動、数百人の開発者が沈静化を訴え署名
『Fez』の開発者であるPhil Fish氏に対するクラッキング騒動や、『Depression Quest』の女性開発者Zoe Quinn氏の私生活に関するハラスメントなど、海外ではここ数週間、一部のコミュニティユーザーによるゲーム開発関係者への個人攻撃が相次いでいる。この一連の騒動に対し、『Spirits』開発スタジオSpaces of PlayのAndreas Zecher氏が公開書簡をWeb上に掲載した。BioWareのゼネラルマネージャーなどの大物をはじめとし、有名スタジオからインディーデベロッパーまで数百名の開発者や関係者らが署名している。
性別や性的指向、民族性あるいは宗教に関係なく、すべての人々がゲームをプレイして批判し、そしてゲームをつくる権利を攻撃や脅迫を受けることなく持つとわれわれは信じている。コミュニティの多様性があることでゲームは繁栄できる。
もしSteamやYouTube、TwitchやTwitter、Facebookやredditで暴力的な脅迫やコメントで危害を加える行為を見たのならば、それぞれのサイトへ報告するために少しの時間を割いてほしい。憎しみに満ちた嫌がらせの発言を見たのならば、おおやけに自身の立場を表明して、ゲーミングコミュニティをより楽しめる場にしてほしい。
前述したPhil Fish氏とZoe Quinn氏への攻撃は先日詳しくお伝えした通り。海外ではこのほかにもゲーム内での安易な女性表現に異議をとなえる女性活動家Anita Sarkeesian氏への殺害予告が続発し、Saleesian氏が安全のため住居を離れる事態が発生している。本件とは方向性が異なるが、爆破予告を出しDDoSアタックを仕掛けたと犯行声明をだした「Lizard Squad」の事件もあり、2014年8月末の海外ゲーム業界では目を覆いたくなるようなニュースが続いていた。今回の件で問題となっているのはこの3人の開発者の主義主張や行動自体ではなく、彼らのゲーム開発や業界への意見が数の暴力によって封殺されてしまっていることだ。
ご参考までだが、筆者はAnita Sarkeesian氏の女性表現への訴えに賛同したことは一度もない。しかし言うまでもないがコミュニティ全体で潰すような行為は容認しない。ましてやクラッキングや殺害予告などは道徳うんぬん以前に犯罪行為であり、社会通念など持ち出すまでもなく許される行為ではない。
海外ではこのほかにも、国際ゲーム開発者協会IGDAが「この忌まわしき行為に対してゲームコミュニティは立ち上がってほしい」と公式声明を発表している。すでに今回の一連の事件は開発者や活動家の個々の問題ではなく、一部の個人攻撃を続けるゲームコミュニティとその排除を願う開発者たちの対立構図となりつつある。