『DayZ』PS4/Xbox One版も諦めていない。早期アクセス開始から2年半、Bohemiaディレクターが現状を語る

Steamの早期アクセスとして販売中のゾンビサバイバルゲーム『DayZ』は、早期アクセス開始から2年半が経過しているが、いまだ正式リリースされていない。心配がつのる中、Eurogamerのインタビューにて、Bohemiaのクリエイティブディレクター Brian Hicks氏が現在の『DayZ』の開発状況を語った。

Steamの早期アクセス(Early Access)として販売中のゾンビサバイバルゲーム『DayZ』。早期アクセス開始から2年半が経過しているが、いまだ正式リリースされていない。

元々は『ARMA 2』のModとして始まり、『ARMA 2』のデベロッパーBohemia Interactive(以下、Bohemia)により『ARMA 2』を必要としないスタンドアロン版として2013年12月に公開。2014年には、コンソール版のリリースを予定している旨の発表もあったが、それ以来BohemiaはPC版の開発に集中しており、コンソール版について目立った進捗情報はなかった。心配がつのる中、Eurogamerのインタビューにて、Bohemiaのクリエイティブディレクター Brian Hicks氏が現在の開発状況を語った。

正式リリースに向け前進

まずコンソール版について、Brian Hicks氏は「我々が使っているEnfusionエンジンの実装が完了するまでは、『DayZ』をコンソールに移行することはできません。少なくとも、ユーザに公開できるレベルでは」と語っており、コンソール版の開発開始は早くても2017年に入ってからとのこと。また、PS4版よりも先に、Xbox Oneにて公開される可能性が高いと述べた。Xbox Oneには、未完成タイトルを先行プレイできるXbox Game Preview programがあるからだ。

Bohemiaは2014年からEnfusionエンジンの開発と導入を開始。当エンジンにより『DayZ』のDirectX 11サポートを目指し、技術・ビジュアル面での向上を図ってきた。そして2016年6月に公開されたアップデート0.60では、ついにDirectX 11対応を開始。それまで不安定だったフレームレートの改善に加え、インベントリーUI、マップ、ゾンビの挙動、銃のリロード仕様などを変更し、正式リリースに向けて大きく前進した。

バグも多かったUIが改善されている
バグも多かったUIが改善されている

それでも、予定している全機能を実装するにはまだ時間がかかる模様。正式リリースの前段階としてベータ版の公開を予定しており、それまでにベースビルディング(小屋や基地を建築する機能)の実装を目指している。新しい機能を追加するなかで発生するバグ修正やバランス調整のボリュームは予想できないものであり、ベータ版および正式リリース日について具体的な目処は立っていない。

とはいえ、Bohemiaは決して開発に悲観的なわけではなく、Brian Hicks氏は前述のインタビュー内で「Enfusionエンジンの主要な機能開発と『DayZ』への実装が完了すれば、そこから先は開発速度を上げられるはずだ」と述べている。また、Bohemiaは正式リリース後も長期的にアップデートを続ける予定だ。

今後のアップデートで追加される予定の狼
今後のアップデートで追加される予定の狼

プレイヤーも見捨てていない

昨年1月に販売数が300万を突破した『DayZ』とはいえど、正式リリースの前に過疎化するのでは、という心配もある。早期アクセスに入ってから2年半ということで、旬をすぎたことは否めないものの、Brian Hicks氏によると「直近のデータでは、最高で65万 MAU(月間アクティブユーザ数)を達成しており、少ないときでも25万から30万 MAUをたもっている」とのこと。

65万MAUを達成したのは、察するに最新の0.60アップデートが適用された6月のことだろう。ここ数か月間、『DayZ』の平均同時接続ユーザ数は5000前後を計測していたが、6月には約1万に跳ね上がっている。大型アップデート時にしっかりとプレイヤーが戻ってくるのは、期待のあらわれだろう。Steam上の同時接続ユーザ数ランキングで見ると、10位前後をキープしている同じサバイバルゲームの『Rust』には敵わないものの、『DayZ』も50位前後で安定している。

『H1Z1: King of the Kill』も延期続き

同じゾンビサバイバルゲームとして『DayZ』と比較されることが多い『H1Z1: King of the Kill』と『H1Z1: Just Survive』。今年の夏に『H1Z1: King of the Kill』のPS4/Xbox One版リリースを予定していたが、PC版の開発に集中するため発売延期となった。また、9月20日に予定していたPC版の早期アクセスから正式リリースへの移行も延期。『H1Z1: Just Survive』も正式リリース時期は未定。

『H1Z1: King of the Kill』アップデートで追加されたバウンティシステム。マッチ開始前にゲーム内仮想通貨を消費することで、プレイヤーのパフォーマンスに応じた量の仮想通貨を、マッチ終了後に獲得できる
『H1Z1: King of the Kill』アップデートで追加されたバウンティシステム。マッチ開始前にゲーム内仮想通貨を消費することで、プレイヤーのパフォーマンスに応じた量の仮想通貨を、マッチ終了後に獲得できる

スケジュールがうしろ倒しになる中、デベロッパーのDaybreak Game Companyによる精力的なアップデートが続いている。『H1Z1: King of the Kill』の9月20日アップデートでは、UIが改善されたほか、トレーニング用のゾーンが追加されたことで、ある程度自分のペースでマップやアイテム配置を覚えられるようになった。また『H1Z1: King of the Kill』はTwitchによるライブストリーム配信が盛んなタイトルということもあり、アップデートでTwitchとの親和性を高め、コミュニティの活性化を図っている。『H1Z1: Just Survive』については、新エリアやボスゾンビなどコンテンツの追加に向けて動いている。

いまだ早期アクセス中とはいえ、公開当初から大幅に改善された『DayZ』『H1Z1: King of the Kill』そして『H1Z1: Just Survive』。しばらくプレイしていない方には、開発の進捗具合を確認してみる良い機会かもしれない。また、『DayZ』に関しては正式リリース後に値上がりするため、気になる方は今のうちに購入しておくのも手だろう。

Ryuki Ishii
Ryuki Ishii

元・日本版AUTOMATON編集者、英語版AUTOMATON(AUTOMATON WEST)責任者(~2023年5月まで)

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