耳だけでも遊べる釣りゲーム『I Can Fish with My Eyes Closed!』無料公開。視力を失ったクマが水の音や友達の声など、あらゆるサウンドを頼りに竿を繰る

MAGES Instituteは5月8日、音声ナビゲーション魚釣りゲーム『I Can Fish with My Eyes Closed!』をPC(itch.io)向けに無料公開した。

MAGES Instituteは5月8日、音声ナビゲーション魚釣りゲーム『I Can Fish with My Eyes Closed!』をPC(itch.io)向けに無料公開した。本作は目が見えなかったり、視界に見えづらさを抱えたりする人が支障なくゲームプレイを楽しめるよう意図した「Blind Accessible Game(目が見えない人へのアクセシビリティを保障するゲーム)」だと説明されている。

『I Can Fish with My Eyes Closed!』は、さまざまな音や声に耳を傾けつつ、それらをヒントに魚を釣り上げていくフィッシングゲームだ。作中では一人称視点の簡易なビジュアルやUIも設けられているが、音声のみを頼りにしても進行可能な仕様となっている。なお本作を遊ぶにあたっては、コントローラーでのプレイが必須となる。


プレイヤーは何らかの事情で最近視力を失ったクマとなり、とある湖で朝昼晩の食事をするための魚釣りに臨む。キツネやカワウソといった周囲の動物友達は、目の見えないクマが魚を捕れるか疑っているようだが、当の本グマは自信に満ちている様子。ゲームを起動すると「I Can Fish with My Eyes Closed!(目をつぶっていても魚は釣れるよ!)」との音声がタイトル画面でも流れることから、視覚障害の有無によらず誰でも釣りはおこなえるのだという作品に込めたメッセージがうかがえる。

そうしたテーマはゲームプレイの面でも表現されており、作中のあらゆる場面や行動において音や声によるナビゲーションが用意されている。釣り竿を振って仕掛けを湖に投げ入れる音、何かが竿に引っかかった際の音、ゲットした釣果の詳細を知らせる友達の声など、いずれの操作にもガイドの役割を果たす音声がともなう。アクションに関連する部分だけでなく、一時停止をした際に現れる「RESUME(継続)」「RESTART(やり直し)」「QUIT(終了)」といったUIボタンにもボイスが割り当てられていて、どの項目を選択している状態なのかが聴覚からも判別可能だ。


釣りパートでは、各レベルで指定された分の「Target(獲物)」ポイントを手に入れ、仕掛けがすべて無くなる前に必要な数値を上回るとクリアとなる。音声とテキストのみで表示される獲物は、無価値なゴミやよく釣れる小型の魚をはじめ、マスやナマズといった高得点のレアフィッシュも存在。魚が食いついた場合は、暴れる魚が大人しくなるまで引き上げボタンの押し込みを一時的に止める、ちょっとした攻防も味わえる。このタイミングを外し続けると魚に逃げられてしまうのだが、振動に対応するコントローラーであれば魚の動きをバイブレーション機能で伝えてくれるので、より臨場感に富んだ体験ができるだろう。


MAGES Instituteはシンガポールに拠点を置く、アートやテクノロジー表現を専門とする私立教育機関。本作はゲームオーディオプログラミングの授業の一環で、Tiffany Ong氏の手により約6週間の期間で制作されたという。MAGES Instituteのitch.ioページでは、ほかにも複数のBlind Accessible Gamesが公開されているため、興味のある方はあわせて触れられたい。

『I Can Fish with My Eyes Closed!』は、PC(itch.io)向けに無料公開中だ。

Yuta Tanaka
Yuta Tanaka

本や映画や演劇と同じように、ゲームは世界と自分をつなぐもの。誰もが気楽に出入りできるゲームの浅瀬を広げていくことに、少しでも関われたらうれしいです。

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