幼少期の記憶追体験ゲーム『Five Years Old Memories』正式発表。作者が友人たちに聞いた、5歳ごろの思い出エピソードの数々をマウス操作で一緒に味わう
アーティストの小光氏は4月28日、インタラクティブ記憶追体験ゲーム『Five Years Old Memories』をPC(Steam/itch.io)向けにリリースすると発表した。現在Steam/itch.io向けには体験版も公開されている。
『Five Years Old Memories』は、5歳ごろの記憶について小光氏が友人たちへ尋ねた実際のインタビュー音声とともに、描かれるアニメーションの中で操作できるポイントを探っていくインタラクティブ物語ゲームだ。本作は計7つのチャプターに分かれており、それぞれに異なる友人たちの幼少期の思い出エピソードが展開される。
各チャプターでは特定のシーンにおいて会話が一時中断され、場面中に隠れたさまざまなインタラクション要素をプレイヤーが発見し干渉することでストーリーが再び進行していく。タップ・ホールド・ドラッグ・スクロールといったマウスによるアクションを通じて、どのような操作が可能なのかイメージを膨らませながら、個人的な記憶に基づく思い出や感覚の世界に飛び込む体験が味わえそうだ。
このたび公開された体験版では、Natsumiという人物が父親の出社を妨害するために、赤いプラスチック製のじょうろで革靴を濡らしたエピソードがプレイできる。靴さえなければ父が外出できず、家で一緒に遊んでくれるのではないかと考えた幼いNatsumiは、玄関に出してあった革靴を水で満たすことで自らの願望を成就させようと試みる。その顛末が何とも微笑ましく、聞き手である小光氏もこらえ切れずに笑いを漏らしてしまうのだが、そうした会話の臨場感も本作ならではの特徴だ。具体的にどのようなインタラクションが可能なのかは、ご自身で確かめていただきたい。
また、手描きで作られたというアニメーションが語りにともない変化していく様子や、操作に応じて鳴る効果音の演出も、シンプルながら想像力をかき立てるものとなっている。ストアページには作品全体の想定プレイ時間が15~20分と記されていることから、各チャプターはいずれも数分ほどで終えられる短いストーリーであると予想可能だ。会話の音声は日本語によるものだが、日本語と英語の2言語による字幕表示にも対応している。
本作を手がけた小光氏はアニメーションやイラストレーション、ゲームなどのインタラクション作品をはじめ、多分野で幅広い創作活動をおこなっている。ポイント&クリック形式の物語ゲームを中心とした90年代のCD-ROMソフトへの関心が深いことでも知られ、「小光とあそばnight!」と題してそれらの作品を紹介するイベントも主催しており、運営するYouTubeチャンネルでは一部の回のアーカイブも視聴できる。itch.ioでは小光氏が過去に制作した他のゲームも公開されているので、同氏が紡ぐ温かくもユーモアに満ちた表現に惹かれる方は、あわせて触れてみるのもよいだろう。
『Five Years Old Memories』は、PC(Steam/itch.io)向けにリリース予定。Steamのストアページによると、今年第3四半期の配信が予定されているという。なお本作はiPad限定のiOSアプリとしてのリリースも計画されているとのことだ。