高評価塗り絵ゲーム『チコリー』公式、「上手く描けなくても、絵を描くことはクールだよ」とメッセージ。温かい励ましにファンアート集まる

色塗りアドベンチャーゲーム『Chicory: A Colorful Tale(チコリー 色とりどりの物語)』の公式Xアカウントは1月17日、「上手く描けなくても、絵を描くことはクールだよ」とのメッセージを投稿。同作のテーマに通じる温かい言葉が多くの反応を集めている。

色塗りアドベンチャーゲーム『Chicory: A Colorful Tale(チコリー 色とりどりの物語)』(以下、Chicory)の公式Xアカウントは1月17日、「上手く描けなくても、絵を描くことはクールだよ(it’s cool to make bad art. as long as you make it)」とのメッセージを投稿。同作のテーマに通じる温かい言葉が多くの反応を集めている。またこの発信を受け、作中に登場するキャラクターのファンアートが制作されるなど、実際に背中を押された者もいるようだ。


『Chicory』は、絵筆を使った仕掛けが特徴のアクションパズルアドベンチャーゲームだ。開発を手がけたのはWishes Unlimited Games。本作の舞台となるのは、ある日突然色が失われてしまった塗り絵の世界。プレイヤーは魔法の絵筆の使い手であるチコリーの消息を追う犬のピザ(名前は自由に選択可能)となって、事件の真相へ迫っていく。本作は2021年6月にPS5/PS4/PC(Steam/Epic Gamesストア)向けにリリースされたのち、Nintendo Switch/Xbox Series X|S/Xbox Oneでも配信されている。


本作はピザと絵筆を同時に操作して進行するユニークなゲームデザインのほか、『Celeste』や『Minecraft』などの楽曲を手がけたLena Raine氏によるサウンドトラックなどが高い評価を獲得。2021年のThe Game Awardsでは「Games for Impact」部門にノミネートされ、翌年の英国アカデミー賞ゲーム部門(BAFTA Games Awards)にてファミリー向け作品のカテゴリーで受賞を果たした。

なお『Chicory』では、他者からの期待やプレッシャーに振り回されず、自分らしさを大事にして表現と向き合うことを肯定するといったメッセージが作中で伝えられている。また絵本のような雰囲気のビジュアルと裏腹に、その過程で生じる恐れや不安も描かれつつ誰もが人生でつまずく可能性があるといったテーマも描かれた作品だ。こうしたメッセージ性も同作の人気を支えているといえる。

そんな本作の公式Xアカウントは1月17日、「上手く描けなくても、絵を描くことはクールだよ(it’s cool to make bad art. as long as you make it)」との文章を投稿。記事執筆時点で400件以上のRPと1500件以上のいいねを集めており、発信された内容への共感や感謝の声も寄せられている。作中のテーマもあってかファンアートがもともと多く描かれていたものの、このたびのポストに触発されて筆を取ったユーザーも複数現れた。また、ゲーム内のお絵描き機能を使って描いた過去のイラストを、リプライを通じて同アカウントに報告したユーザーもいる。ユーザーたちは、本作が投じたメッセージに励まされたようだ。


こうしたSNSを活用した投稿は、ゲームの主題やそれに宿る作り手たちの思いを改めて広げる機会といえる。ファンにとっても作品へのさらなる共感や理解に繋がる機会であり、投稿には多くの反響、そしてファンアートが寄せられているかたちだ。

なお『Chicory』を手がけたWishes Unlimited Gamesは現在、バレーボールを題材としたターンベースRPG『Beastieball』を開発中。PC(Steam)向けに2024年中のリリースを目指している。不思議な生き物Beastieたちのバレーボールチームのコーチとなる作品で、異種族たちのチームワークが重要になるゲームプレイが描かれる様子。『Chicory』とは違った切り口で描かれそうなテーマ性にも注目したい。

Yuta Tanaka
Yuta Tanaka

本や映画や演劇と同じように、ゲームは世界と自分をつなぐもの。誰もが気楽に出入りできるゲームの浅瀬を広げていくことに、少しでも関われたらうれしいです。

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