『ELEX』など手がけた老舗RPGスタジオPiranha Bytes、閉鎖との噂に「まだ存続している」と報告。難しい状況ながら、新作の開発継続を諦めない
デベロッパーのPiranha Bytesは1月22日、公式サイトやSNSを通じて声明を発表した。同スタジオについては、閉鎖されたのではという噂が最近になって駆け巡っていたが、存続していることをアピールしたかたち。ただ、難しい状況にあることは事実だと認めた。
Piranha Bytesは、1997年に設立されドイツ・エッセンに拠点を置く老舗デベロッパーだ。『Gothic』シリーズや『Risen』シリーズを手がけたことで知られ、2019年にはEmbracer Groupによって買収。同グループのTHQ Nordicの傘下スタジオとなり、2022年に発売されたアクションRPG『ELEX II』の開発を担当した。
Piranha Bytesについては2023年5月、ドイツ連邦経済・気候保護省が同スタジオに対する約320万ユーロ(約5億円)の補助金拠出を発表したことで、「WIKI6」というコードネームの新作が開発されていることが明らかに。しかし今年に入って、同省掲載のリストから「WIKI6」が消えたことが発見され、またPiranha Bytesの公式サイトがスタジオロゴ表示だけに更新されたことを受けて、スタジオが閉鎖された、あるいは閉鎖の危機にあるのではとの噂が駆け巡った。
そうした不穏な状況に加えて、親会社Embracer Groupが組織再編を進めている事実もあり、噂に拍車がかかることとなった。Embracer Groupは昨年6月、スタジオ・IPへの大規模な投資を続けてきた従来のビジネス戦略から転換し、事業リスクの低減と収益性の向上を目指すとして、スタジオの閉鎖や売却、未発表ゲームの開発中止などを進めると表明。その後、『セインツロウ』シリーズなどを手がけたVolitionや、『TimeSplitters』シリーズなどで知られるFree Radical Designを含む、いくつかのスタジオが閉鎖された(関連記事)。
そうしたなかPiranha Bytesは1月22日になって声明を発表。難しい状況にあることは事実であるとしつつ、自分たちのことをまだ見限らないでほしいと呼びかけた。スタジオは健在だったことが明らかになったが、楽観視できる状況でもないようだ。同スタジオは、プレイヤーが夢中になれる世界を作り続けるために全力を尽くしているとし、またそのプロジェクトのためのパートナーを探すためなら何でもするとした。
気になるのは、同スタジオはEmbracer Group/THQ Nordicの傘下にありながら、パートナーを探しているということだ。難しい状況にあるという説明と合わせると、親会社からの支援が期待できないのかもしれない。あるいはスタジオ売却が検討されており、その受け入れ先となるパートナーを求めているという意味だろうか。ちなみに、上に掲載した声明の投稿はTHQ Nordicがリポストしている。
なお先述した新作「WIKI6」については、「Currywurst」へとコードネームが変更されたことが1月19日に判明している。依然として補助金拠出の対象になっているとのこと(GamesWirtschaft)。Piranha Bytesが述べた“プロジェクト”とは、この作品のことを指しているのだろう。声明にて同スタジオは、今後新しい情報があればすぐに共有するつもりだとしている。