ワードパズルゲーム『Sqword』開発者ら、無断埋め込みサイトへ“強烈グロ画像を表示する罠”を設置してお仕置き。効果はてきめん
ゲーム個人開発者のJosh C. Simmons氏らは、同氏らが手がけ無料で公開したワードパズルゲーム『Sqword』が、広告収益を目的とした外部サイトへ無断で埋め込まれていたことを報告した。この事態に対して同ゲーム開発者は、外部サイトに対し“巧妙な仕返し”をおこない、一部のサイトで掲載を停止させることに成功したと明かしている。海外メディア404 Mediaなどが報じている。
『Sqword』は、個人開発者Simmons氏とその友人らが開発を手がけたゲームだ。同作は、5×5マスのマス目上にアルファベットを配置していき、縦/横の繋がりで英単語を作成するパズルゲームだ。成立した英単語の文字数に応じてポイントが獲得でき、すべてのマス目を埋めた時点でのポイント数を競う。単純なルールのもと、気軽に楽しめる内容だ。
そんな同作は、外部から集積したブラウザゲームをコンテンツとする“まとめサイト”内に無断で埋め込み掲載されていた。同作の公開元ページは、広告が一切表示されておらず、無料(無収益)の状態で配信されていた。一方、まとめサイトの多くは広告収益を目的としており、収益を上げるための“客寄せ”コンテンツとして、同作が開発者の意図に反するかたちで悪用されていたというわけだ。また、同作のタイトルをGoogleなどで検索した際には、公開元のWebページ以外が検索結果トップに表示される状態にあったという。こうした状況は、HTMLの機能「iframe」を利用し、外部サイトが正式な公開元ページを“自サイトに埋め込む”かたちで成立していた。この状況を把握したSimmons氏は、この「正式なページを埋め込む」との性質を逆手に取り、同作を埋め込んでいた外部サイトに対して巧妙な仕返しをおこなったのだ。
Simmons氏のとった対応とは、『Sqword』が本来の公開元ページ以外(iframe上)で表示された場合に、同作の代わりにNSFW(Not Safe For Work/仕事場での閲覧注意)画像を表示する、という仕様の追加だ。この際に表示される画像は、海外を中心に2000年代にネットミームとなった「Goatse」(検索の際には注意してほしい)と呼ばれるショッキング/グロテスクな画像。同画像は、内容を偽った前置きの文章とともに投稿することで、うっかり表示したユーザーを驚かせる“釣り画像”として、インターネット上の各所に広まった。言うなれば、インターネットにおける古典的悪戯の一種だ。この対応によって、同作を埋め込んでいた外部サイトには、運営者が本来想定していないであろう“強烈なグロ画像”とともに「I steal other people’s code because I’m a total hack(私は銭ゲバなので、他人のコードを盗みました)」というメッセージが表示されることとなった。
iframeタグは指定されたURLでのWebページを「指定された範囲内にそっくりそのまま表示する」という動作仕様を持つHTMLタグだ。このため、こうした変更が加えられた場合にも、“仕込まれた罠コンテンツ”を忠実に表示してしまうのだ。こうした変更を受け、一部外部サイトの運営者らは同作の掲載ページを別のゲームと差し替える対応をおこない、開発者であるSimmons氏は思惑通り外部サイトへの無断埋め込みを抑止することに成功したようだ。しかしながら、いくつかのサイト運営者らは一連の変更に未だ気付いておらず、現在も前述したNSFW画像とメッセージが表示されているようだ。
こうした一連の経緯に対してSimmons氏は、自身のブログを通して心境を明かしている。同氏は、『Sqword』は無料かつ広告無しで公開することを前提に、友人らと熱意を持って手がけた作品であると語り、それらが他者に利用されていたことが我慢ならなかったと怒りを表明している。また、一連の経緯への“大人な対応”として、コンテンツセキュリティポリシーを追加する方法があったと言及。しかし、同氏は自身を“そこまで大人ではない”として、前述のような対策をとったとしている。こうした報告の結びとして同氏は、iframeタグにより自身の所有しないコンテンツを表示しているWebサイト運営者らに対しコメント。iframe内のコンテンツはたとえ合法的な用途であっても、いつでも変更される可能性があり、自身の管理下に置くことは出来ないことを警告している。
『Sqword』は、Sqword.comにて公開中だ。こちらの公式ページからプレイすれば、“グロ画像”が表示されることはない。