「ジハード」の名を持つユーザー、PSNからBANされる。“攻撃的”な名前が原因か。ソニーはID名変更を提案
PlayStation 3を2009年に購入したJihad Khalid Al-Mofadda氏はゲームを愛するごくごく普通のゲーマーだった。しかし、6月26日に彼はPlayStation Network(以下、PSN)から追放され、ゲームをプレイする機会を失うこととなる。追放の原因とされるのはAl-Mofadda氏の「ijihad」というID名だ。jihadは自分の本名から来ており、本来の意味である「崇高な使命に向かい努力する」と願いが込められた名前だという。しかし、jihadという言葉は「聖戦」と訳されるなど、イスラム過激派を連想する方も多いだろう。
そういった背景を考慮してか、ソニーは “攻撃的な名前”であることを理由にMofadda氏をPSNから追放する。しかし、氏は2009年以来PlayStationハードを愛しており数々のゲームを購入、特に『FIFA』シリーズの課金コンテンツFIFA Ultimate Teamのカードにお熱だった。自らが購入しプレイしていた多くのデジタルコンテンツが失われたことに苛立ちを感じた氏は、ソニーに抗議のメールを送信した。メール上でソニーは、名前が規約違反であったことを説明し、PSNのID名の変更を提案した。これを受け、Mofadda氏は新たなID名を従来の名前にハイフンをつけた「-iJihad-」に決めソニーにメールを送信。しかし、このIDもまたjihadの名を含んでおり“defamatory(抽象的)でありoffensive(攻撃的)である”ことから却下されてしまった。PSN上にはjihadの言葉を含むIDが多くあるにもかかわらず、標的になってしまった氏は納得できなかった。
苛立ちを隠せないMofadda氏は次にRedditにスレッドを立て、ユーザーに自分の窮状を訴えかけ始める。すると、たちまちさまざまなメディアがこの事件を取り上げ、『Nuclear Throne』を手がけたRami Ismail氏もBANを受けたユーザーをサポートする姿勢を見せるなど、騒ぎはどんどん大きくなっていった。この事態を見かねたソニーはMofadda氏に電話をかけ、一連の騒動を謝罪し、ID変更を改めて案内。しかし、このIDの変更システムはシステム上大変難解であり、ID変更でおこなわれるのは、あくまで現在まで購入したコンテンツの移行のみだと聞かされる。フレンドやトロフィーなどソーシャル要素はいちからのスタートとなることを聞き、氏は大きな落胆を覚えたと語る。最終的にJiiiというIDを取得し、新たに出発しなおすこととなった。
結局のところ、自分の愛するID名とフレンド、トロフィーを失ったMofadda氏。しかしTwitterやRedditで自分をサポートしてくれる人々の多さや、それによって最悪の事態を逃れられたことに幸福を感じているようだ。
俺を全力でサポートしてくれたゲームコミュニティのすべての人に感謝したい。こういった人々の声がゲームの未来を変えるんだ。大きな会社のマネージャーのこういった行為を許してしまうと、同じことが起こり続けるだろう。声高に叫び続けよう!どこにいたって声は聞こえるんだ!