マルチ強盗FPS『PAYDAY 3』今週の発売目前に海賊版防止技術「Denuvo Anti-Tamper」導入を取りやめ。ファンからは歓迎の声も
デベロッパーのStarbreeze Studiosは9月16日、協力型強盗FPS『PAYDAY 3』へのデジタル著作権管理技術「Denuvo Anti-Tamper」の導入を取りやめると発表した。本作は、PC/PS5/Xbox Series X|S向けに9月22日発売予定で、発売を前に同技術の採用を撤回した格好だ。
『PAYDAY 3』は、オンライン4人協力プレイ対応のクライムFPS『PAYDAY』シリーズの最新作だ。前作『PAYDAY 2』から数年後のニューヨークを舞台とし、前作での基本的なシステムを受け継ぎつつ、新キャラクターやスキルシステムなどが導入。強盗ミッションにおいては、ソロあるいは仲間と共に正面から突入してもよし、ステルスプレイにてこっそり忍び込んでもよし。また、人質を逃がすか利用するかといった選択などもでき、幅広い戦略が可能となる。
本作ではこれまでにベータテストが複数回実施され、開発元からは本作に「Denuvo Anti-Tamper」を導入していることが明らかにされていた。Denuvo Anti-Tamperは、Irdetoが開発したデジタル著作権管理技術。暗号化・難読化・デバッグ防止技術を組み合わせることで、ハッカーが保護されたコードを分析・変更することを困難にする。簡単にいうと、海賊版が出回ることを防ぐ技術である。
Denuvo Anti-Tamperは、大手メーカーのタイトルを中心に採用されることが多い。一方で、そのタイトルの発売後には削除されることも珍しくない。完璧な技術ではないため、いずれ海賊版が流通してしまうことは避けられず、その段階で役目を終えたとしてゲームから取り除かれるわけだ。それでも、売上においてもっとも重要なローンチ時期の保護を確かなものとするために、各メーカーは同技術を採用している。そうしたなか『PAYDAY 3』では、発売を前にして導入を取りやめることが発表された。
なぜ『PAYDAY 3』では、Denuvo Anti-Tamper導入を撤回することとなったのか、今回の発表では特に説明はなく理由は不明。発売前に導入を取りやめた別の例としては、セガの『HUMANKIND』が挙げられる。当時開発元は、実装における問題によりゲームのパフォーマンスに影響が及ぶ状況にあると説明。発売日までに修正することは不可能であるとして導入が見送られた。
ただ『PAYDAY 3』においては、ベータテスト実施時に公開されていたFAQにて、Denuvo Anti-Tamperが導入済みであることが明らかにされたうえで、パフォーマンスへの影響は確認されていないとし、その実装にポジティブな見解が述べられていた。製品版への実装時に何らかの問題が浮上したのだろうか。あるいは、同技術を好まないファンに配慮したという可能性も考えられる。
Denuvo Anti-Tamperは、PCゲーマーのあいだでしばしば議論の対象となってきた。上述したパフォーマンスへの影響の有無のほか、過去には多数の導入タイトルが一時起動不可となり、同技術が使用するネットワークの障害により認証できなくなったことが原因ではないかと疑われたこともあった(関連記事)。メーカーが採用を続ける一方で、ゲーマー側の評判は必ずしも良いとはいえず、先述したように発売後にあえてゲームから削除するメーカーが存在するのはそのためだと考えられる。結果的に、今回の『PAYDAY 3』における発表に対しては、ファンからは歓迎する声が目立って寄せられることとなった。
『PAYDAY 3』は、PC(Steam/Epic Gamesストア/Microsoft Store)/PS5/Xbox Series X|S向けに9月22日発売予定。Xbox/PC Game Pass向けにも提供される。また、本作のGold/Silver Edition購入者のアーリーアクセスは9月19日から開始予定だ。