『ファイナルファンタジーVII』の曲「爆破ミッション」を英軍楽隊が演奏し、シュールさに注目集まる。軍が“魔晄炉爆破テロBGM”を高らかに演奏
世界規模の軍楽祭にて、イギリスの軍楽隊が『ファイナルファンタジーVII』(以下、FF7)の「オープニング~爆破ミッション(以下、爆破ミッション)」と思しき楽曲を演奏。しかしゲーム内での文脈を考えると、この楽曲は軍楽隊が演奏するのは変だといえるかもしれない。ミスマッチな文脈や人気のゲーム音楽が採用されたという点が話題になっている。
「エディンバラ国際軍楽祭」は、イギリス・スコットランドのエディンバラ城で毎年8月に開催されるイベントだ。屋外の広場をステージとして、伝統衣装を着た軍楽隊の演奏やパレード、ダンスなどのさまざまなパフォーマンスがおこなわれる。世界各国の軍楽隊も集まる、世界最大規模の軍楽祭とされるイベントだ。今年は8月4日から開催されており、26日まで連日イベントがおこなわれる予定だ。
そんな本イベントのとある一場面の映像が、ユーザーのRoshi20氏によって8月15日にReddit上に投稿された。同投稿では『FF7』の「爆破ミッション」のテーマを演奏している様子のイギリス軍楽隊がみられる。有名なゲーム音楽がパフォーマンスとして披露されたかたちだ。そしてこの様子が“皮肉的”であるとして、ユーザーからの注目が集まっているようだ。その背景には、演奏された「爆破ミッション」にまつわる文脈がある。
『FF7』は当時のスクウェア(現スクウェア・エニックス)によって1997年、PS向けに発売されたRPG。同作の舞台となる世界では、私設軍隊さえもつ巨大エネルギー企業である神羅カンパニーが世界の覇権を握っていた。主人公のクラウドたちは反体制組織として、彼らと敵対していくことになる。そして同作の冒頭ではクラウドたちがテロリストとして、神羅カンパニーのエネルギー施設「魔晄炉」を爆破する様子が描かれる。このシーンで流れているのが「爆破ミッション」という楽曲なのだ。印象的な冒頭シーケンスで流れる楽曲でもあり、作中ではまた別の場面でも象徴的に使われる。テロリストたるクラウドたちの戦いを盛り上げる楽曲なわけだ。
この文脈を考慮すると、本イベントにおいて英国軍楽隊は“テロリストが爆破テロするテーマ曲”を高らかに披露したことになる。これに対して、Reddit上ではそのおかしさに注目が集められている。寄せられたユーザーのコメントには、「テーマ的には意味不明だけど、素晴らしい!」など完成度の高い楽曲パフォーマンスを称賛する声が多くみられる。植松伸夫氏の手がけた原曲自体が出色の名曲であり、それを見事に奏でる軍楽隊の演奏スキルは高い、「なのにテロリストの曲」というシュールさがおもしろさに繋がっているのだろう。
またYouTube上では個人ユーザーによって、本イベントの全体の様子が投稿されている。ほかの部分も見てみると『Battlefield』シリーズのテーマ曲など、『FF7』以外のゲーム音楽も採用されている。このため「爆破ミッション」は軍楽隊にに合いそうなゲーム音楽の一つとして選曲されたのだろう。軍関係者にゲームファンがいるのだろうか、耳をすませば、ほかにもゲームの楽曲が奏でられているかもしれない。