Rockstar親会社の過去の「単純な移植はしない」宣言、『RDR』PS4/Switch版発表に際してツッコまれる。矛盾かあるいは心境変化か

Rockstar Gamesが8月7日に発表した『Red Dead Redemption(レッド・デッド・リデンプション)』のNintendo Switch/PS4版について、Take-Two会長の過去のとある発言を引き合いに出されているようだ。

Rockstar Gamesが8月7日に発表した『Red Dead Redemption(レッド・デッド・リデンプション)』のNintendo Switch/PS4版について(関連記事)、Take-Two会長の過去のとある発言を引き合いに出され公式が“イジられて”いるようだ。


Rockstar Gamesは8月7日、『Red Dead Redemption(レッド・デッド・リデンプション)』(以下、RDR)のNintendo Switch/PS4版を8月17日にリリースする旨の発表をおこなった。本作は1911年のアメリカおよびメキシコを舞台にしたオープンワールド・アクションアドベンチャーゲームだ。オリジナル版は2010年にPS3/Xbox 360向けにリリースされ、今回はNintendo Switch/PS4向けの移植版が発表されたかたちだ。これを受けたX(旧Twitter)上のユーザーらは、前述の発表をおこなったRockstar Games公式Xアカウントのツイートに対して、“イジり”のリプライを投げかけている。


リプライ欄にて複数のユーザーが言及しているのは、過去にRockstar Gamesの親会社Take-Two会長Strauss Zelnick氏が語った「既存タイトルのリマスター(移植)版に対する同社の方針」の内容だ。これは2021年に投資銀行Morgan Stanley技術部Media & Telecom Conference内でおこなわれた同氏に対するインタビューにおける回答の一部で、“単純な移植”に対して否定的な姿勢をとった発言となっている(VGC)。

インタビュー内でZelnick氏は、既存タイトルの移植版は企業戦略において常に一定の位置を占めていると回答。続けて、Take-Two社は単純な移植をよしとせず、最新技術を投じて時間をかけた移植をおこなっているとして、移植版に対する方針を明らかにした。また、同インタビュー内では好評を得た一例として、Rockstar Gamesが数々のプラットフォームへと移植版をリリースした『Grand Theft Auto V』をあげていた。単純な移植はしないとの決意表明にも見えたわけだ。


こうした経緯を踏まえて、今回の『RDR』移植版発表に対して、「当時のZelnick氏による回答と相反するものではないのか」「当時述べられたリマスター(移植)版に対する方針は実践されているのか」という意図から多数の指摘が寄せられているのだろう。

『RDR』はXbox Series X|SとXbox Oneを除く現行プラットフォームでは長年プレイする術がなかったタイトルだ。また、今回の発表までに韓国のゲーム物管理委員会(GRAC)へ本作タイトル名で新たなレーティング申請が確認されたり(INSIDER GAMING)、とあるユーザーによってRockstar公式サイトの更新情報から本作の新タイトルロゴが発見されたりと多くの噂も飛び交っていたようだ。つまり、リマスターが近々発表されるのではないかと期待が高まっていたわけだ。そうした中で出た、今回のシンプル移植。次世代機/PCでの移植版発表に期待が高まっていた反動も、今回の反響を呼ぶ要因となっているだろう。

なぜ単純な移植をするに至ったのか。その真意は不明ながらも、最近ではTake-TwoとRockstarは“単純ではない移植”をし、それによって苦戦した事例もある。その代表が、『グランド・セフト・オート:トリロジー:決定版』だ。同作は、『Grand Theft Auto』シリーズ人気作3本を同梱したタイトル。このトリロジーは、ベタ移植ではなく、Unreal Engineを使いビジュアルなどをグレードアップしリメイクしたもの。しかしこちらは、リリース時は不具合なども多く評価は散々なものに。批判も多く、Rockstarは低品質のままリリースしたことを謝罪することとなった。のちのアップデートでは改修されたものの、“単純ではない移植”に挑戦し、痛い目にあったともいえる。あくまで推測には過ぎないが、移植に際して工夫をすることで苦い思いをするならば、単純に移植をすることで工数や被害を最小限に留めようとしている可能性はあるだろう。
【UPDATE 2023/8/9 11:30】
『グランド・セフト・オート:トリロジー:決定版』収録作品記載を修正


なお今回の『RDR』移植によって、Nitendo Switch/PS4だけでなく後方互換機能によるPS5でのプレイも可能となる。本作の移植には『Rust』や『RimWorld』などのコンソール版移植の実績を持つDouble Elevenが携わっていることも明かされており、移植の品質についてはある程度信頼できそうでもある。実に10年を超える期間を経ての移植版となる本作の今後に注目したい。

『Red Dead Redemption(レッド・デッド・リデンプション)』のNintendo Switch/PS4版は、8月17日発売予定だ。

Toru Ishikawa
Toru Ishikawa

雑食ゲーマー、好きな言葉は「Random loot」と「Permadeath」です。

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