「トランスフォーマー」の販売終了ゲーム再リリースに、権利元Hasbroが意欲示す。マイクロソフトの助力に期待
米玩具メーカーのHasbroが、「トランスフォーマー(Transformers)」の過去のゲーム作品について、再リリースに興味を示している。背景には、ゲーム版の販売元を務めていたActivisionの、マイクロソフトによる買収が現実味を帯びてきたことがあるようだ。海外メディアTFW2005が報じている。
変形ロボット生命体が活躍する「トランスフォーマー」は、玩具や映画、アニメなどで人気を得ているほか、古くからゲーム化もされている。Activisionからは数多くのタイトルが発売され、上にトレイラーを掲載した『TRANSFORMERS: Devastation』はそのひとつ。プラチナゲームズが開発を担当したアクションゲームとして当時話題となった作品だ。
ただ、いわゆる“版権モノ”の宿命というべきか、権利元のHasbroとActivisionとの販売契約が満了したタイトルは販売終了に。2017年には、上述した『TRANSFORMERS: Devastation』や、『TRANSFORMERS: War for Cybertron』『TRANSFORMERS: Fall of Cybertron』『TRANSFORMERS: Rise of the Dark Spark』といったタイトルが、一斉にストアから姿を消した(関連記事)。
「トランスフォーマー」専門の海外メディアTFW2005は先月7月、イベントSan Diego Comic-Con 2023にてHasbroへのインタビューを実施。そのなかで、販売終了となった「トランスフォーマー」のゲーム作品を再リリースする可能性について質問した。それに対しHasbroは、マイクロソフトが手助けしてくれることを期待する旨のコメントしている。
マイクロソフトは2022年1月、Activision Blizzardを総額687億ドル(約9兆8000億円・現在のレート)で買収する方針を発表。その後、各国・地域の規制当局による審査がおこなわれ、すでにそのほとんどで審査通過。残るは、一度は買収非承認とした英国当局との再協議の結果を待つかたちとなっており、買収完了が現実味を帯びてきている状況にある。すなわち、Activision Blizzardの子会社であるActivisionのゲーム販売戦略に、マイクロソフトが関与する可能性が高まっている。
ただ、関係各社がゴーサインを出せばすぐに再リリースが実現するというわけでもないようだ。インタビューにてHasbroは、Activisionは「トランスフォーマー」の過去ゲーム作品のデータの所在について把握しきれていないようだと述べている。そこでマイクロソフトが介入し、あらゆるアーカイブとハードディスクを調査し、すべてのデータを見つけ出してくれることを期待しているとのこと。Hasbroは、ゲーム作品をもとにした玩具開発においても、Activisionの“データ紛失”によって苦労させられたそうだ。
またHasbroは、「トランスフォーマー」の過去のゲーム作品は、サブスクリプションサービスXbox Game Passにすぐに追加できるだろうともコメントしている。このように権利元が再リリースに意欲を示していることから、あとはActivision(あるいはマイクロソフト)側の意思やリリースへの技術的問題の状況次第となりそうだ。近年販売終了した作品のなかには、現状現行機ではプレイできないPS3/Xbox 360世代のタイトルもあり、それらの互換対応も望まれるところだろう。
ちなみに、マイクロソフトのゲーム部門CEOでXbox事業を率いるPhil Spencer氏は以前、Activision Blizzardを買収した場合には、『Guitar Hero』シリーズなど同社の休眠IPを復活させるべく、開発スタジオに働きかけていくつもりだと語っていた(The Washington Post)。そんなSpencer氏は、今回Hasbroから寄せられた期待をどのように受け止めているだろうか。
なお、「トランスフォーマー」のゲーム作品としては、戦略バトルゲーム『TRANSFORMERS: BATTLEGROUNDS』が現在発売中。また新作としては、アクションアドベンチャーゲーム『TRANSFORMERS: EARTHSPARK – Expedition』が今年10月に発売予定となっている。