Steamでリリースされ「やや不評」を受けたステルスゲーム、開発者が2年越しに謝罪。リマスター版制作で再出発誓う
SFアクションアドベンチャー『Grey Skies: A War of the Worlds Story』のSteamストアページにて7月16日、同作開発者であるNathan Grant氏(以下、Nathan)より最新のニュース記事が投稿された。「Grey Skiesの不評に対する取り組み」と題された記事は、前回最終更新日から実に2年振りの更新。そのなかでNathan氏は、現在Steam上でレビューステータス「やや不評」となっている同作に対する見解と、当時のユーザーに対して謝罪の姿勢を見せると共に、リマスター版の制作に着手する意向を明らかにした。
『Grey Skies: A War of the Worlds Story』は2020年11月5日に、デベロッパーSteel Arts Softwareより配信されたSFアクションアドベンチャーゲームだ。タイトルに「A War of the Worlds Story(宇宙戦争)」とある通り、本作はH.G.ウェルズ著「宇宙戦争」をテーマとした作品だ。主人公のHarperは飛行機事故にみまわれ火星人襲撃の只中にあるイギリスへと不時着。彼女を操作するプレイヤーは周辺にはびこる巨大な侵略兵器「トライポッド」、火星人に操られた人間たちの目をかいくぐりながら、この状況を生きのびる術を模索していく。
スティーブン・スピルバーグ監督により映像化もなされたSF小説の金字塔をバックグラウンドとした同作は、本稿執筆時点のSteam上のユーザーレビューは110件中67%が不評の「やや不評」のステータス。これは本作をプレイした多くのユーザーから、多数のバグへ不満が噴出したことが原因となっているようだ。
ユーザーから指摘された問題が顕著な一例をあげると、配信当初本作のメインメニューには終了ボタンが存在せず強制的な方法でしか終了できなかったとのこと(アップデートにより現在は修正済み)。また、設定画面を閉じてゲームを再開しようとコンティニューボタンを押すと直前のチェックポイントまで戻される、字幕表記をオンにしても特定のセリフにしか字幕が表示されない、など影響の範囲は多岐にわたり、ゲーム進行そのものを妨げるものもいくつか存在していたようだ。
またゲームプレイに関しても、もっとも多く指摘されたのがステルスアクション時の退屈さだ。ストーリー中、敵から身を隠して進む場面が頻繁に登場し、その度にしゃがみ歩きを強いられることがプレイヤーへの相当なストレスとなっていたようだ。そのほか、マップ上を「ただ歩く」時間が目立つという指摘や、各シークエンスの合間に逐一ロード画面を挟むことなど、さまざまな不満があがっている。
こうした経緯により低評価多数となった110件のレビューは現在Steam上で閲覧可能となっている。開発者のNathan氏によれば同作は近日中に販売停止が予定されており、それにともない現在のレビュー欄も閲覧出来なくなる可能性がある。同作に「低評価」を投じたレビューの中には「アセットの組み合わせで安易に作られたゲームではない」とする一部肯定的な洞察や、バグ報告や熱のこもった感想など長文でつづられたレビュー多数見受けられ、なかなかに読み応えのあるものとなっているようだ。
そうして7月16日にNathan氏から発表されたニュースではまず、同氏が個人的事情によりゲーム開発から距離を置かざるを得なかったと説明。そしていまいちど開発現場に戻り『Grey Skies: A War of the Worlds Story』に寄せられた評価の現状を理解したことが語られた。また同氏は、配信当時は同作が抱える難点を自覚できずにいたとし、2年の期間を経てあらためて当時の評価と対峙した現在では、ユーザーから提示されていた問題点も完全に理解することができたと振り返る。
続く記事のなかで、これらの経緯をふまえた上で自身の手がけた同作に対する自負を明らかにし、現在利用可能となった最新の開発技術や同氏の成長した開発知識を投じて、今後『Grey Skies: A War of the Worlds Story』のリマスター版制作に着手する意向を表明した。リマスター開発においては現在判明している問題点の解決に注力するとのこと。
また、配信開始当初のユーザーに対してあらためて感謝を伝え、Steam上のオリジナル版購入者には将来リリースされるリマスター版を無償提供するとしている。詳細については追って発表予定とのこと。続報を期待しよう。
『Grey Skies: A War of the Worlds Story』は1520円、PC/PS4/Xbox One/Nintendo Switch向けに発売中だ。