タクティカルFPS『I.G.I. Origins』開発元Antimatter Gamesが閉鎖へ。『Rising Storm』シリーズなどを手がけたFPS開発の名手
ゲームデベロッパー・パブリッシャーを複数抱えるEnad Global 7は5月24日、グループ傘下のデベロッパーAntimatter Gamesを今年の夏に閉鎖すると発表した。
Antimatter Gamesは、2013年に設立されイギリスを拠点に活動してきたデベロッパーだ。FPS『Red Orchestra 2: Heroes of Stalingrad』のスタンドアロン拡張パック『Rising Storm』の開発に携わったのち、続編『Rising Storm 2: Vietnam』でも開発を担当。共に高い評価を得た。この間には、FPS『Killing Floor 2』の開発にも参加している。
その後、冷戦下の世界を舞台にするミリタリーシューター『’83』を発表するも、一旦開発停止に。近年は、『Project I.G.I.』の前日譚にあたるタクティカルFPS『I.G.I. Origins』の開発を進めていた。同作は、MI6に雇われた元特殊部隊員として極秘任務に臨むという作品。熱心なファンをもつ『I.G.I.』シリーズの新作とあって、発表時には大きな注目を集めた。しかしその完成を待つことなく、今回スタジオが閉鎖されることとなった。
Enad Global 7によると、同グループではより持続可能かつ予測可能なビジネスを確立すべく、継続的に取り組んでいるという。そして取締役会においてさまざまな戦略的オプションを検討した結果、Antimatter Gamesを閉鎖する決断に至ったそうだ。
発表のなかでは『I.G.I. Origins』にも言及。これまでにはスタジオの売却や販売パートナーの獲得などが模索されてきたとのことで、同作の開発において資金面を含むトラブルが発生していたことがうかがえる。結果的に同グループとしては、Antimatter Gamesと『I.G.I. Origins』へのさらなる投資を制限するために、スタジオを閉鎖することにしたそうだ。これにより、年間約5000万スウェーデンクローナ(約6億5000万円)分のコストを削減できるとのこと。また2022年第4四半期に、本作に関する評価損をすでに計上しているとした。
Antimatter Gamesの閉鎖プロセスはすでに開始されており、これから従業員との協議などを経て、この夏に正式に閉鎖される予定。そして今年第3四半期にすべての手続きが完了する見込みとのこと。一方で『I.G.I. Origins』の扱いについては、現時点でははっきりしない。発表では開発中止とも続行とも明言されず、同作の今後の行方が注目されそうだ。