“ビデオゲーム・ギャンブル機”誕生へ、海外企業が505 Gamesと協力して一人称視点アクション型のカジノマシンを開発中
米国の新興企業「GameCo Inc.」は、イタリアを本拠地とするゲームパブリッシャー「505 Games」と協力し、一人称視点アクションゲームエンジンを利用したカジノマシンを開発していることを明らかにした。「GameCo Inc.」は昨年末から「Video Game Gambling Machine(以下、VGM)」に取り組んできたスタジオであり、ビデオゲーム要素(スキル要素)があるマシンをラスベガスなどのカジノに普及させることを目指している。
GameCo Inc.によれば、「VGM」が対象とするゲームジャンルは「レーシング」「FPS」「格闘」「MOBA」「スポーツ」「パズル」、さらに『Bejeweled』などの落ち物系パズル「マッチ3」や、隠れたアイテムを画面から探す「Hidden Object Game」系。シングルプレイヤーだけでなくマルチプレイヤーに対応した機種も登場する。ペイアウトはプレイヤー自身の腕前によって左右され、一般的なスロットと同様のRTP(Return to Player、理論上でのプレイヤーへのリターン率)が設定されるという。このほか既存のスロットプラットフォーム上で動作する点や、カジノマシンの標準規格「GLI 11 Ver 2.1 スタンダード」で構築されている点も明らかにされている。
今回発表されたマシンがどのような内容となるかは一切明らかにされておらず、505 Gamesのどのゲームエンジンを使用しているのかも不明。ただプレスリリースを見る限りでは、どうやら1プレイは「45秒間」になる模様だ。また公式サイトにて公開されているモックアップでは、ゲームパッドと2つの画面が配置されたマシンが確認できる。
ビデオゲームとギャンブルの関係はすでに世界各地で築かれている。ビデオゲームの勝敗を対象にする違法賭博などではなく、合法的なスポーツ賭博の一環としてe-Sportsを対象にした賭けが欧州などではすでに広まりつつある。また、2014年には『スーパーストリートファイターIV』を対象にしたマネーマッチ(賭け試合)が、海外のオンラインギャンブルサービス上にてカプコン公認で始動したのも記憶に新しい。
また「Video Game Gambling Machine」が登場した背景には、海外の若者がスロットマシンに興味を示さなくなったわいゆる”若者離れ”もある。市場が年々縮小してゆくなか、カジノ業界は若者が慣れ親しんでいるビデオゲーム要素を盛り込んだギャンブルマシンで巻き返しを図っている。従来のスロットマシーンにおいてスキル(プレイヤーの腕前)が入る余地は許されなかったが、昨年から法整備も一気に進んでいる状況だ。
現時点では日本でまずお目にかかることはできないと思われる「Video Game Gambling Machine」だが、国内にはゲームメーカー出身でありつつ現在はパチンコ・スロット開発も担っている企業も多い。今後「VGM」が普及すれば、国内の既存のゲームIPを利用したマシンが登場するといった流れも十分にありえそうだ。昨年6月、すでにGameCo Inc.はネバダ州にて「VGM」を稼働させる認可を得ており、2016年から州内のカジノで始動する見込みとされている。