Windows標準アプリ「ペイント」を“ゲームエンジン化”させたユーザー現る。線を描けばその上をキャラが走る、ゲーム作り魔改造
ソフトウェア開発者のSam Chiet氏は4月28日、Windowsユーザーにおなじみのアプリを使った映像をTwitterに投稿。“「MSペイント」をゲームエンジン化させた”として大きな注目が集まっている。
「MSペイント」こと「ペイント」は、マイクロソフトが提供しWindows PCにプリインストールされているお絵かきアプリだ。あまり高度な機能は備えていないものの、手軽に利用でき便利だとしてWindowsユーザーには長らく親しまれている。今回Chiet氏はその「ペイント」を、ゲームを制作できるアプリへと独自に改造したという。
投稿された映像では、「ペイント」のキャンバス内に黒い線が描かれており、マリオらしきキャラクターも存在。そしてSam Chiet氏がマリオを操作すると、黒い線の上を走り出した。フリーハンドで適当に描かれたであろう黒い線はデコボコしているが、マリオはその線に追従するようにキッチリ踏みしめて行く。
さらにChiet氏はキャンバスをスクロールさせ、「ペイント」の鉛筆ツールで空白部分に黒い線をいくつか描き足した。するとマリオは、その線の上に飛び乗ったり、落下してから着地したりしている。リアルタイムに描いた線が、足場として認識されていることが分かるシーンだ。
機能としては簡易的ではあるが、横スクロールアクションのステージを作成しプレイすることが実現しており、まさにゲームエンジンの一種といえそうである。なお、プラットフォームアクションのロジック部分の開発においては、プログラマーのAndrew Griffin氏が公開しているガイドを参考にしたそうだ。シンプルなアプリである「ペイント」上で実行しているというインパクトは大きく、当該ツイートには1700件以上のリツイートと1万4000件以上のいいねが集まることとなった。
制作者のSam Chiet氏は、PCのデスクトップに迷惑なガチョウを登場させるアプリ「Desktop Goose」や、Windowsの「メモ帳」アプリ上で『DOOM』を実行させる「DOOMpad」など、ユニークな作品を手がけることで知られる人物。「Desktop Goose」については、モチーフにしたと思われる『Untitled Goose Game 〜いたずらガチョウがやって来た!〜』が大ヒットを記録してから間もなく公開されたこともあり、大きな反響を得た(関連記事)。
また、「ペイント」アプリの改造は今回のもの以外にも、物理ベースの流体表現を取り入れたり、ニンテンドーDSiウェア『うごくメモ帳』風のアニメーション作成機能を導入したりといったものが披露されている(以下のツイート参照)。前者については、キャンパスに水色を描くと大量の水玉が流れ落ち、その下に黒い線を描けば、その上を伝うようにして流れていくという内容。先述のゲームエンジン向けとしても検討されているようだ。
なお、「ペイント」アプリをゲームエンジン化する方法については、現時点では公開されておらず、公開する予定があるのかどうかも不明。一方、上述したアニメーション作成機能の導入については、Chiet氏のDiscordサーバーを通じてベータ版が配布されている。