『マインクラフト』開発元、“無断移植”ブラウザ版とバトル中。海賊版開発者は逆に自身の技術を売り込む
『マインクラフト』の開発元Mojangが、本作のとある海賊版の存在に目を尖らせているようだ。その海賊版はGitHubなどを通じて配布され、Mojangは著作権侵害を訴えている。海外メディアTorrentFreakが報じている。
問題の海賊版は『Eaglercraft』と呼ばれており、『マインクラフト』の特定の古いバージョンを、ウェブブラウザにてプレイできるように作り変えられたものとされる。内容は、マルチプレイモードに限定されているものの『マインクラフト』そのもので、無料で入手しプレイできるという。
『Eaglercraft』を制作した中心人物は、Lax1dudeなるGitHubユーザーだ。同ユーザーは昨年12月頃に、Java版『マインクラフト』のバージョン1.8をデコンパイルしたり、ウェブブラウザ対応をおこなったりなどし、『Eaglercraft』を作成するための各種ツールをGitHubにて公開。その後、同ツールを利用して作成されたと思われる『Eaglercraft』のクライアントやサーバーコードなど関連するリポジトリが、多数のユーザーによってGitHubに続々と投稿されることとなった。
これに対しMojangは今年2月、デジタルミレニアム著作権法(DMCA)に基づく著作権侵害の申し立てをGitHubに対しおこなうことに。その対象となったのは『Eaglecraft』に関連するリポジトリで、数は90件を超えた。そして『Eaglercraft』は『マインクラフト』のコードやアセットの流用、および『マインクラフト』の使用許諾契約違反などが指摘された。その結果GitHub側は、申し立てのあった関連リポジトリをすべて削除した。
Lax1dudeは、先述した『Eaglercraft』を作成するためのツールのGitHubリポジトリにて、Mojangおよびその親会社マイクロソフトの著作権を侵害するコンテンツは含まれていないと主張していた。ただMojangの対応を受けて同ユーザーは、自身のウェブサイトからも『Eaglercraft』の関連コードを削除した。利用するISPとのトラブルを避けるためと説明されている。
なおGitHub外では、まだ『Eaglercraft』を配布しているサイトが存在する模様である。海外メディアTorrentFreakは、そうしたサイトは無料で『Eaglercraft』を提供しながら、多額の広告収入を得ていると指摘している。さらに先日には、Mojangが『Eaglecraft』関連の数百件のGitHubリポジトリ取り下げ申請を送ったとされ、また外部サイトへの対処もGoogleやCloudflareに求めているという。作者が取り下げても、『Eaglecraft』自体が独り歩きしている状況なわけだ。
なお、一連の著作権侵害の申し立てを受けた後Lax1dudeは、GitHubで公開していた『Eaglercraft』を作成するためのツールについても自ら削除。その代わりに、Mojangに宛てたメッセージを投稿している。同ユーザーは、著作権侵害を巡ってMojangと争うつもりはなく、また上述した外部の配布サイトとも関係はないとコメント。そして、『Eaglercraft』は『マインクラフト』の海賊版を意図したわけではなく、ウェブブラウザ向けの移植をおこないたかっただけであるとし、移植作業には何年も費やしたと述べた。
そのうえでLax1dudeは、Mojangの担当者と連絡を取ることを希望。『Eaglercraft』は、Chromebookなどのローエンドハードウェアでもスムーズに動作するとし、Mojangの開発チームはそのコードを参考にしたり、さらには公式採用したりすることに興味をもつかもしれないと、自身の技術を売り込んだ。
過去には、他社のIPを無断使用したファンゲームの開発者が、その会社に公開中止を求められる一方で、実力を認められ手厚いもてなしを受けるということもあった。ただ、そうした例はごく一部。今のところ、MojangがLax1dudeに接触したという情報はないようだ。