昼はショップ経営、夜は冒険者。『Moonlighter』は寝る間も惜しみひたすら“お金”を稼ぎ続けるゼルダ風ローグライク
発売前や発表されたばかりのインディーゲームから、まだ誰も見たことがないような最前線の作品を紹介してゆく「Indie Pick」。第255回目は『Moonlighter』をピックアップする。
あなたには夢があるだろうか。私にはたいした夢はないが、『Moonlighter』の主人公Willには「ヒーローになる」という夢がある。 Willは小さな街Rynokaに住む普通の少年だ。しかしながら、「なりたい」と願うだけでヒーローになることはできない。強くなるためには立派な装備がいるし、強敵を倒すためにはたくさんのポーションが必要で、それらを買うためにはお金がいる。そう、ヒーローになるために必要なのはお金だ。結局この世はお金がすべてなのだ。
幸いにもWillの親族はMoonlightという名のショップを所有しており、譲ってもらうことに成功する。しかし、当然のことながら売り物がなければ商売は成り立たず、そもそも狭いMoonlightには売り物を置く場所すら確保できない。そこでWillはお店で売ることができるものを求め、街の近郊の洞窟へと冒険者として潜りこむことを決意した。
5種類あるダンジョンは、どれも潜るたびに変化する不思議なエリアだ。そこでさまざまなアイテムを拾い持ち帰ることが目的だが、どのアイテムに値打ちがあるかは素人のWillには当然わからない。一見値打ちのありそうなアーティファクトをカバンに詰めるのか、謎の骨董品を中心に拾うのか、それとも相場が安定したポーションを持ち帰るのか、目利きはプレイヤー次第となる。Willはアイテムを収集するうちに知識が増えていき、徐々に鑑定せずともアイテムの価値がわかるようになるという。
当然ながら、ダンジョンには多くの危険が存在する。本作にはさまざまな要素が存在するが、開発者は戦闘こそこのゲームの核となる部分であると述べる。スクリーンショットを見ると『ゼルダの伝説』シリーズのような印象を受けるかもしれないが、戦闘シーンを見るとモーションやテンポが重いような印象を受ける。開発者はキャラクターやアートのデザインでは全体的に『ゼルダの伝説』シリーズを意識していることを認めているが、ダンジョンなどはむしろ『The Binding of Isaac』を参考に作っていると語る。また、ローグライクとしての骨組みなどは『ローグレガシー』の影響も強いのだという。敵は棒立ちのものから追いかけてくるもの、遠隔攻撃をしてくるものなどさまざま。敵の配置はランダムとなっており、歯応えのある難易度を目指して作られている。ダンジョンは部屋ごとに区切られているが、この手のゲームとしては珍しくモンスターが現れても扉が閉まることはない。敵を無視して探索することも可能だが、宝箱は敵をすべて倒さないと出現しないので要注意だ。
強大な敵がダンジョンにはたくさん徘徊しており、最奥にはボスが存在する。ボスを倒すと新たな能力がアンロックされ、貴重なアイテムが手に入る。そういった敵に対抗していく手段は装備のみとなる。本作にはレベルの概念が存在せず、Willの能力はすべて装備アイテムに依存する。良い装備を探し当てることがクリアへの重要な一歩につながるのだ。
これらのダンジョン探索は夜、みんなが寝静まったころにおこなう。ダンジョンから街へと帰るころには朝だ。朝に帰り、就寝……するのではなく、ダンジョンから得たものを早速売らなければならない。ショップではプレイヤーはスロット内の売りたいアイテムを設定し、客を捌くミニゲームをおこなうことになる。このミニゲームはスキップすることができ、アイテムを売りだしたまま街をうろつくことも可能だが、ウィンドウショッピングをするだけの客や万引きする子供なども演出として登場するようで、人々が買い物をしている様子を眺めているだけでも楽しそうだ。また街にはライバルとなるショップが複数存在し、アイテムを購入することが可能。たくさんアイテムを買えばすなわち投資することになり、他店は大きくなっていく。しかしその影響で売上が減るといったことはないようなので、武器屋や魔女のお店を賢く使いながら自分のお店を拡大していこう。
夜はダンジョン奥深くを探索しながら良いアイテムを見つけ、昼にはそれらをお客に売りつけ店を大きくしていく。このサイクルを繰り返しながらお金を集め、ヒーローになるという夢を成就させるのがゲームの目的となる。
開発しているのは新興スタジオであるDigital Sun。本作はインディーとしての最初のリリースタイトルであり、スクウェア・エニックスのインディーデベロッパーを対象とした支援プログラムSquare Enix Collectiveに選ばれている。まずPC/Max/Linux向けにリリースされ、コンソール機への展開も計画中のようだ。1月末時点で完成度は30%となっているのが、開発は進んでおり2017年早期の発売を目指している。