オープンワールド工場建設ゲーム『Satisfactory』Unreal Engine 5に移行へ。UE5新機能でパフォーマンス向上や車両物理システム刷新などを見込む
デベロッパーのCoffee Stain Studiosは3月25日、オープンワールド工場建設ゲーム『Satisfactory』の開発環境をUnreal Engine 4からUnreal Engine 5(以下、UE5)へと移行すると発表した。次期大型アップデート「Update 8」の配信開始に合わせてUE5でのビルドに切り替わる予定で、まずは同アップデートのExperimental版が先行して提供されテストがおこなわれる。配信時期は未定。
本作は、未知の惑星を舞台にした工場建設ゲーム。FICSIT社の従業員となったプレイヤーは、ソロあるいは協力プレイにてオープンワールド世界を探索。資源を入手して独自の工場を建設し、さらに自動化させたり効率性を高めるなど拡大・発展させていく。本作は、PC(Steam/Epic Gamesストア)にて早期アクセス配信中。
今回公開された映像では、開発元Coffee Stain StudiosのコミュニティマネージャーJace Varlet氏が、本作のUE5への移行について詳細な説明をおこなっている。このタイミングでの移行を決めた理由については、UE5ならではの機能がプレイヤーの利益になるとし、どのみちいずれ決断する必要があったとコメント。なお、導入されるUE5のバージョンは現時点での最新版である5.1.1となる。
UE5には、動的グローバルイルミネーション・反射システムであるLumenや、仮想化マイクロポリゴン・ジオメトリシステムNanite、アップサンプリングシステムTSR(Temporal Super Resolution)、レベルストリーミングシステムWorld Partition、標準搭載となった物理エンジンChaosなどの特徴的な機能が搭載。本作ではこれらを活用することで、パフォーマンスの大幅な向上などを実現するという。以下では、映像内で紹介された内容の一部をかいつまんで紹介する。
まずLumenによるグローバルイルミネーションについては、プレイヤーが任意にON/OFFできるオプションとして実装される。本作の開発では、これまでLumenの適用を前提とした絵作りをおこなっておらず、すべてのワールドを最適化させる時間がないため、当面はこうした暫定的な実装に止めるそうだ。現時点でのON/OFFした際の違いは、上に掲載した比較画像を参照してほしい。
Naniteは、映画品質の精細なアセットを多数配置しても、見た目の忠実度を損なわずにフレームレートを維持できる技術。本作においては、岩や崖といったアセットから導入し、さらに工場設備のアセットにも導入する計画だそうだ。ただし工場設備に関しては、Update 8には間に合わないかもしれないとのこと。このほか、TSRやWorld Partitionの導入よってもパフォーマンスの改善に繋がるという。
物理エンジンのChaosは、本作の車両の物理システムを作り直すために導入される。たとえば、トラックは跳ねる挙動が減ってより重量感が感じられるようになり、エクスプローラーはよりキビキビ走りつつ、オーバーステア気味で運転がやや難しくなるとのこと。このほか、ハンドブレーキやエンジン音なども改善されるそうだ。
なおUE5への移行によって、本作はパフォーマンスが大幅に向上することが見込まれているが、Experimental版のリリース当初は、一部のプレイヤーは逆に悪化する可能性もあるとのこと。またバグも相当に含まれるであろうことから、Experimental版を導入する前にはセーブデータのバックアップを取っておくことが推奨されている。さらに、従来のModは正しく機能しないそうだ。これはUE5移行だけが原因ではなく、大型アップデートのたびに起こることであり、互換性の対応は各Mod制作者次第とのこと。
このほか、本作の最低動作環境を引き上げることも予告された。これまではNVIDIA GeForce GTX 770以上とされていたが、同GPUはNVIDIAがすでにドライバのサポートを終了しており、本作にとってももはやスペックが低すぎるという判断があったそうだ。そして現時点では、GeForce GTX 1650/4コアCPU/8GB RAMに改める計画とのこと。またUE5のNaniteを利用するうえでは、ストレージにSSDが必須になる可能性があるとされている。
『Satisfactory』は、PC(Steam/Epic Gamesストア)向けに早期アクセス配信中だ。UE5への移行がおこなわれる次期大型アップデート「Update 8」および同Experimental版の配信時期は未定。Experimental版の提供を通じて4〜5か月間さらに開発を進め、Update 8の正式リリースに繋げる計画とのことである。