『Untitled Goose Game 〜いたずらガチョウがやって来た!〜』は、Mac App Storeでの配信についてAppleから拒否されていた。その理由とは
パブリッシャーPanicの共同設立者Cabel Sasser氏は3月7日、『Untitled Goose Game 〜いたずらガチョウがやって来た!〜』のMac版をMac App Storeにてリリースしようとした際のエピソードをSNSに投稿した。当時Appleからは不可解な対応をされたそうで、その内容に注目が集まっている。
『Untitled Goose Game 〜いたずらガチョウがやって来た!〜』は、House Houseが手がけ2019年に発売されたドタバタアクション・ステルス・サンドボックス・ガチョウシミュレーター。プレイヤーはガチョウとなり、農園に侵入しておじさんから鍵を盗んだり、街へと繰り出し男の子を誘い出して電話ボックスの中に閉じ込めたり、あるいは指定のアイテムをくすねて集めたりなど、ToDoリストにあるイタズラ(目標)をこなしていく。のちのアップデートにて2人協力プレイにも対応した。
本作は幅広いプラットフォームにてリリースされており、販売元のPanicは、Mac版をMac App Storeでも配信しようとしたそうだ。ただ、同社共同設立者Cabel Sasser氏によると、Appleからは却下されたという。Mac App Storeで配信するには、運営元であるAppleにゲームを提出し審査を受けなければならない。その審査に通らなかったとのこと。
Appleが通告した却下理由とは、「クレジット画面をスキップできない」というものだったという。ただ実際には、スペースキーを押し続けることでスキップが可能。Sasser氏がそのことを伝えると、Apple側は何か別の理由を挙げてまたも却下したそうだ。これを受けて同氏は諦めて、再審査に臨むことはもうしなかったとのこと。
このエピソードを受けて、海外メディアVergeの編集者Tom Warren氏は、Macにおけるゲーム環境についてAppleは本気で取り組むつもりがないことの証左であると指摘している。2度目の審査の却下理由は不明ではあるものの、クレジット画面をスキップできないというだけで配信を拒否するというのは不可解であるという見方だろう。
もっともAppleとしては、折に触れてゲームに注力していることをアピールしている。今年2月にも、メディア向けのゲームイベントを開催し、Bloober Teamが手がけたサイコロジカルホラーゲーム『The Medium』のAppleシリコン対応版などを披露したばかりだ。
とはいえAppleは、些細にもみえる理由により大ヒットゲームを逃した格好となり、Macにおけるゲーミング領域への本気度が疑われることとなった。『Untitled Goose Game 〜いたずらガチョウがやって来た!〜』は他プラットフォームでは大きな人気を獲得し、Steamでは現時点で95%が好評とする「圧倒的に好評」ステータスを得ている。また、リリース後には数々の賞にノミネートされ、複数の賞について受賞。PC/Nintendo Switch版のリリースから約3か月後には売り上げ100万本を達成している。
『Untitled Goose Game 〜いたずらガチョウがやって来た!〜』は、PC(Steam/Epic Gamesストア/Itch.io)/Nintendo Switch/PS5/Xbox One向けに配信中だ。なお、SteamなどではMac版も購入可能である。