『ガングレイヴゴア』 発売記念前夜祭レポート。来場者によるプレイ対決に、内藤泰弘氏のライブドローイングなど、充実のファンミーティング

『GUNGRAVE G.O.R.E(ガングレイヴゴア)』発売前夜となる11月21日夜、東京中野の地下スペースで、選ばれしファンたちの集いが催された。その内容をお届けする。

『GUNGRAVE G.O.R.E(ガングレイヴゴア)』が11月22日(Steam版は11月23日)にPLAIONより発売される。発売を祝して、前夜となる11月21日夜、東京中野の地下スペースで、選ばれしファンたちの集いが催された。


会場はレッドブルが運営する「Red Bull Gaming Sphere Tokyo」。男女比は3:2くらい。最初にPLAIONのジャパンリージョナルマネージャーの岩田真治氏がご挨拶。続いて本作の総合プロデューサーであるキム・ケイ氏と原作者の内藤泰弘氏が登壇した。その内容をお届けする。


今回のファンミーティングでは、4つの企画がおこなわれた。1つ目のコーナーは『Gungrave G.O.R.E』が出来るまでと題して、開発秘話や裏話をお届けするというもの。この企画では内藤氏とケイ氏がそれぞれの立場から制作の苦労などを話してくれた。まずケイ氏が、自身が影響を受けたゲームを紹介。PlayStation 2で『デビルメイクライ』シリーズや『バーチャファイター』シリーズを遊んでいたこと、韓国には日本のゲームに影響を受けた人が多いことを語ってくれた。初代『GUNGRAVE』ももちろん遊んでいたとのことで、「現実感のなさにキャラクターの格好良さがあった。銃弾を装填しなくてもいいところとか。あの銃弾はどこから出てくるんだ」と冗談交じりに疑問を投げかける場面も。ちなみに内藤氏の答えは「最初から全部の銃弾が装填されている。韓国にはない銃だ」とのこと。


アニメ制作に関する裏話も飛び出した。2002年にゲーム第1作が発売され、2003年から2004年にかけて放映されたアニメ版では、全26話中15話が過去編という異例の構成だった。ゲームとアニメ、それぞれの企画がある程度同時進行で進んでいたとのこと。過去編の構想が最初からあったわけではないが、脚本家や監督の力で感動できる作品に仕上がったそうだ。内藤氏は8話がお気に入りでアテレコにも行ったらしい。司会の郡正夫氏も「シドベア回か!」とリアクション。


2004年の『GUNGRAVE O.D.』発売から2017年の『GUNGRAVE G.O.R.E』発表まで、長い沈黙期間があった。これについて内藤氏は、「企画などが浮かんでは消え浮かんでは消え……」と振り返った。2017年に『GUNGRAVE G.O.R.E』を発表できたことを「大変なこと」と表現してその喜びを語った。


開発中のエピソードとしてケイ氏からは、夜は食事を配達する仕事もしていたし、所有していた外国車も売ったなど赤裸々な苦労話が明かされた。ケイ氏によると、韓国はコンソール市場が大きくないらしく、投資してくれる会社を見つけるのが大変だったとのこと。


2つ目のコーナーは、来場したファンによる「90秒チャレンジ」。90秒でどこまでスタイリッシュにステージを進められるか、代表者3名が競うことに。また今年のTGSに出展した体験版へのフィードバックも開発陣にそのまま伝えているとのことで、「キビキビ度がさらに上がった」本作の手触りを一晩早くファンに伝える場ともなった。


90秒チャレンジは、内藤氏とケイ氏による実況も交えながら進められた。内藤氏はオープニングムービーで無残になぶり殺される敵を見つめながら「彼にだってお母さんもいるはずなのに……。これ国内で出していいんですか?」ととぼける。プレイが始まると、生みの親の親心からか、思わず内藤氏は「遮蔽物を使え!」、ケイ氏は「(近接攻撃より)シューティング!」と喝を入れていた。しかし中には90秒でゲージをためてデモリションショットを繰り出し、371コンボをたたきつけた人も。


ただしケイ氏は「もっと銃を使ってほしい」と手厳しいコメント。銃を使わないとデモリションショットを使うためのゲージがたまらない。見るに見兼ねたケイ氏もプレイに名乗りを上げたが、結果90秒たたないうちにゲームオーバーに。本人曰く「このステージは難しい」。たしかにケイ氏が挑戦したのは、体験版などで触れられる第1ステージではなかった。より先のステージを発売前に見られたという意味でも貴重な、ファンと開発者による共同実況だった。


3つ目のコーナーはQ&A。事前に集めた質問のなかで特に集まっていたのが、銃火器にまつわる話だ。「トライガン」を代表作とする漫画家の内藤氏はどのような銃砲を好むのか。気になる答えは「P90(プロジェクトナインティ)などのブルパップ方式の銃」。取り回しが理にかなっていると理由を述べた。また「グレイヴの前に立ちはだかるならどの武器を選ぶか」という質問には、スナイパーライフルで4キロくらい離れたところから狙うという“卑怯な回答”で会場を沸かせた。記憶に残る作品については、グレイヴの造形において映画「デスペラード」の影響があることを明かしつつ、意外なところとして「荒くれNIGHT」を挙げている。


来場者からは、ケイ氏への質問も。「続編はあるか」という気の早いファンの質問には「『GUNGRAVE G.O.R.E』はサーガの始まり。グレイヴは無口だがここぞというところで言葉を発する。その一言を受け取ってほしい」と意味深長な返事で締めくくった。

最後の企画は内藤氏によるライブドローイング。今年のTGSではグレイヴが描かれたが、今回は……


開始3分で輪郭が浮かび上がる。


15分で完成。今回描かれたのは九頭文治だった。なお本作では彼もプレイアブルキャラクターとして登場する。

最後は原作者自らにより、ファンへイラスト入りの色紙が手渡された。また会場内に展示されたパネルがお持ち帰り可ということで、じゃんけん大会も開かれるなど最後まで和気あいあいとした雰囲気に包まれてミーティングは終了した。


開発中の赤裸々な苦労話のなかでケイ氏が述べたとある言葉が、会場にいる人たちの胸を打ったようだ。その言葉は、イベントではだいぶ序盤で発言されていたが、あまりに感動的だったので、司会の郡氏も思わずイベントを締めくくりそうになっていた。せっかく時系列を入れ替えることのできる事後レポートだ、このセリフは最後に紹介しようと思う 。「グレイヴはアメリカンコミックのヒーローとは違う。世界の平和には興味がない。目的は(本シリーズヒロインである)浅葱ミカを守ることのみ。それと同じように僕たちにとって守るべきものは『GUNGRAVE』だけだった」。

『Gungrave G.O.R.E』は、PlayStation 4/PlayStation 5/Xbox One/Xbox Series X|S向けの22日より発売中。PC(Steam)向けには23日に発売予定だ。

Daiki Imazato
Daiki Imazato

下手の横好きでシミュレーションゲームなどをしています。自分のミスでだんだん状況が悪くなっていく様を他人事のように眺めるのが好き

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