Riot GamesとUbisoftが「Zero Harm in Comms」リサーチプロジェクトを共同で発足。AIを活用しプレイヤー間の有害な交流を防ぐ
ライアットゲームズは11月17日、ユービーアイソフトと共に、ゲームチャットにおける悪意のある内容を検知する「Zero Harm in Comms」リサーチプロジェクトを発足したと発表した。
この取り組みは、技術的な提携を結ぶことによって両社のAIソリューションの限界を引き上げ、プレイヤー間の「有害な交流」を防ぐことが狙いだとされている。ゲーム内データを収集する業界共有のデータベースとラベリングエコシステムを構築し、AIを活用した先制型モデレーションツールにさらに良質な訓練を積ませることで、悪質な言動を検知して抑制することを目的にしているという。こうしたリサーチは業界では初の試みとのこと。将来的にプレイヤーコミュニティー全体の利益になることを目的とした、業界合同の意欲的計画の初めの一歩だと説明されている。
ライアットゲームズとユービーアイソフトは、健全なオンラインゲーム環境に向けての知見を共有する業界団体Fair Play Allianceのメンバーであり、ゲームにおける安全で有意義なオンライン体験の創造は、共同的な活動と知識の共有によってのみ実現されると確信しているとのこと。そして今回の試みは、良いソーシャル体験を育み、悪影響をもたらすやり取りを避けられるように設計されたゲーミング構造を作るという、2社の大いなる旅路の延長線上にあるものだそうだ。
Zero Harm in Commsリサーチプロジェクトを通じて両社は、将来的な業界内の協力関係および本取り組みの倫理とプライバシーを保証する枠組みを構築するために、技術的な土台を築く方法を追求。ライアットゲームズの非常に競技性が高いゲームと、ユービーアイソフトの多様性に富んだコンテンツによって、データベースはあらゆるタイプのプレイヤーやゲーム内の言動をカバーしたものになり、2社のAIシステムにさらに良質な訓練を施すものになるとした。
本リサーチプロジェクトについて、ユービーアイソフトの研究開発部門Ubisoft La ForgeのエグゼクティブディレクターYves Jacquier氏は以下のようにコメントしている。
私たちはプレイヤーの悪質な言動を非常に深刻な問題であると捉える一方で、解決するのが極めて困難なものでもあると認識しています。ユービーアイソフトでは、安全で楽しい体験を保証する具体的な施策に取り組んでいますが、業界で一致団結することが問題解決への近道になると考えています。私たちのコミュニティと直結するゲーム環境のデザイナーとして、今回のライアットゲームズとの技術提携を通して、ゲーム内での悪質行為をさらに排除する方法を模索していきます。
また、ライアットゲームズのテクノロジーリサーチチーム代表Wesley Kerr氏のコメントは以下のとおり。
悪質な言動はゲームに限った問題ではありません。オンラインソーシャルプラットフォームを持つすべての企業がこの難しい分野に取り組んでいます。だからこそ私たちは、オンライン空間で安全なコミュニティを作り、ポジティブな体験を育むことを信条とするUbisoftのような業界パートナーと協力することに専念しているのです。このプロジェクトは、私たちのゲームに健康的で安全かつ包括的な交流を実現するシステムを開発するためにライアット全体でおこなっている取り組みの一例に過ぎません。
なお、業界として初めて実施されるこのZero Harm in Commsリサーチプロジェクトの一環として、ライアットゲームズとユービーアイソフトは来年、どのような結果であっても、初期段階で得た実験の学びを業界全体で共有することを約束している。