『Fallout 76』のリードデザイナーを務めたFerret Baudoin氏が死去。開発中の『Starfield』にも携わっていた人物
『Fallout 76』のリードデザイナーを務めたFerret Baudoin氏(本名Eric Baudoin)が死去した。Facebook上に追悼グループが作成され、その中で伝えられた。また、関係者もSNSで追悼の辞を述べている。
Ferret Baudoin氏は『Fallout 76』のデザイナーを担当した人物。特に2020年に追加された大型アップデートコンテンツ「Wastelanders」ではリードデザイナーを務め、ローンチ段階では存在しなかった人間のNPCを登場させるなど、同作の方向性を一気に広げた。Facebook上の追悼グループが投稿した文章によれば、今月10月15日(現地時間)に亡くなったようだ。遺族がユーザーを通じて伝えたところによると、がん手術に伴う合併症で亡くなったそうだ。このユーザーは、非公式の『Fallout76』Podcastを運営している人であり、生前のFerret氏はそのPodcastにも出演していた。
『Fallout 3』『Fallout 4』『Fallout 76』の開発に携わり『Fallout 76』でプロジェクトリーダーを務めたJeff Gardiner氏はTwitterで、Ferret氏との交流について「私たちはプレイしていたあらゆるRPGについてテキストメッセージを送り合った」と回想。人柄についても「永遠の楽天家」と評し、訃報を悼むコメントを寄せた。
また『Fallout 3』『Fallout 4』『Fallout 76』でデザインディレクターを務めたEmil Pagliarulo氏は「『Fallout 4』に登場する派手なロボット 「Ironsides」 から、『Starfield』でのまだ語れないようなものまで、BGS(Bethesda Game Studios)では何年にもわたってFerretと密接に仕事をしてきた」とFerret氏の功績を語っている。このツイートによると、Ferret氏が関わったゲームの中には、2023年発売予定の最新作『Starfield』もあるようだ。Ferret氏の人柄については「一つのことにこれほどまでにひたむきに向き合い、ひねくれたところもない、という人に会うことは滅多にない」と、やはり屈託のない人柄を評している。
Ferret氏は、Bethesda Game Studiosに入社する前、BioWareでリードデザイナーとして6年間、『Dragon Age』シリーズにライターとして携わり、2003年から2006年まではObsidian Entertainmentで『Neverwinter Nights 2』のリードデザイナーを務めた。いずれも名作RPGとして今でも語り継がれているタイトルだ。『Fallout76』に関しては、海外掲示板redditの開発者質問スレでリードデザイナーとして質問に答えたり、前述のPodcastラジオに出演したりするなど、積極的にファンとかかわってきた(関連記事)。今回の訃報を受け、ファンの間でも悲しみの声が上がっている。一方で、同氏の功績をたたえようとする前向きな動きも出ている。YouTubeにはさっそく、同氏の手がけた作品と発言をまとめたファンメイドの回顧録が投稿されている。
また、前述のPodcastが、哀悼の意を表すべく、Fallout25周年記念の有志イベントでビデオを作る予定だとして、ビデオの編集者を募集している。さらにはゲーム内で追悼アートを制作した人に「#ThanksFerret」のタグをつけて投稿するように促している。各種SNSですでに3000以上のメッセージが届いているそうだ。それらはPodcast運営者によりFerret氏の母親にも届けられたようである。
残されたFerret氏の子供はまだ若いとのこと。有志が、子供の大学進学への資金を集めるために、「Buy me a coffee」で寄付金を募っている。また同氏の名義でアメリカがん協会への寄付をすることも歓迎している。多くのファンを抱えていた同氏の遺作となる『Starfield』は、PC/Xbox Series X|S向けに、2023年前半に発売予定。