『Metro Exodus』のシニアアニメーターAndrii Korzinkin氏、ウクライナ兵士として戦死。 同僚らが報告
『Metro』シリーズで知られる4A Gamesに所属するシニアアニメーターのAndrii Korzinkin氏が亡くなったようだ。同僚らの報告によると同氏は、ロシアによる軍事侵攻を受けてウクライナ軍に従軍し、その作戦の最中に帰らぬ人となってしまったとのこと。海外メディアPC Gamerが報じている。
ウクライナ・マリウポリ出身のAndrii Korzinkin氏は、アニメーションスタジオにて3Dアニメーターとして実績を積んだのち、キーウに位置する4A Gamesに2017年に移籍。『Metro Exodus』の開発に参加し、クリーチャーや一人称視点でのアニメーション、およびモーションキャプチャーやリギングなどを担当した。同作は2019年にリリースされ、高い評価を獲得。2022年2月時点で600万本を売り上げるヒットとなっている。
4A Gamesは2014年、ウクライナにていわゆる親ロシア派騒乱が発生したのち、マルタ共和国・スリーマへの本拠地移転を実施。さらに今年2月からのロシアによるウクライナ侵攻を受けては、キーウスタジオのすべての従業員に対し、親会社Saber Interactiveの関連スタジオへの避難が勧められた。ただ、Korzinkin氏は母国に残ることを決断したようだ。
元4A Gamesのゲームデザイナーで『Metro Exodus』に携わり、現在はRemedy Entertainmentに務めるLeonid Stepanov氏は10月2日、Andrii Korzinkin氏がウクライナの独立性・主権・領土を守るための戦闘任務にあたっている際に亡くなったと報告。また、同じく元同僚で、現在Creative Assemblyにてリードアニメーターとして働くSerhii Krystiev氏、さらに4A GamesのリードテクニカルデザイナーVitalii Keda氏も、Korzinkin氏が戦闘中に亡くなったことを明らかにし、同氏の死を悼んだ。
Keda氏によると、Korzinkin氏は責任感が強く、献身的な性格の持ち主だったという。またStepanov氏は、Korzinkin氏は『ゴッド・オブ・ウォー』シリーズのゲームディレクターなどを務めたCory Barlog氏や、同氏の作品から影響を受けていたと振り返る。そのためKorzinkin氏は、いつか自らが夢見る作品を制作するために、専門であるアニメーション以外のゲーム開発スキルも磨いていたとのこと。
*Andrii Korzinkin氏が手がけた『Metro Exodus』のアニメーション
ロシアによる軍事侵攻を受けて、ウクライナ国内では戒厳令と総動員令が発令されている。これまでには、たとえば同国内に拠点を置くゲーム開発スタジオFrogwaresでは、一部スタッフが兵士に志願したと伝えられている。また4A GamesのリードレベルデザイナーAndrii Krasavin氏によると、同スタジオにおいても、Andrii Korzinkin氏以外にあと8名が現在従軍しているとのことである。