『Hearthstone』新拡張パックを3月11日に発表、入門者のハードルを下げる新機能「デッキレシピ」も実装へ
Blizzard Entertainment(以下、Blizzard)は、基本無料オンラインカードゲーム『Hearthstone: Heroes of Warcraft』(以下、Hearthstone)の次回拡張パックを、3月11日に公式Twitchチャンネルにて発表すると、コミュニティサイトBlizzheartへの書簡の中で明らかにした。なお、日本時間では翌日午前3時から。また、実用的なデッキ作成を手助けしてくれる新機能「Deck Recipes」が、公式ブログにて発表されている。各レシピは、クラスやカードの特性を最大限に発揮するシナジーにフォーカスしており、ゲーム初心者のステップアップに繋がるほか、経験豊富なプレイヤーにとっても新しくデッキを構築する際の参考として役立つことが期待できる。
初心者のデッキ構築をサポートするレシピ機能
「Deck Recipes」は、カードコレクション画面で“New Deck”を選択してクラスを決定すると、画面左側に表示される。各クラスに1つの「クラシックレシピ」と2つの「テーマレシピ」が用意されており、所持しているカードのバリエーションやプレイスタイルに応じたデッキ構築をサポートしてくれる。
「クラシックレシピ」はベーシックカードとクラシックパックのカードのみを使用するため、まだゲームを始めたばかりであまりカードを持っていない初心者に最適。デッキ構築のプロセスを学ぶツールとして役立つだろう。また、ベテランプレイヤーがスクラッチからデッキを作る際にショートカットとして活用できる。2種類の「テーマレシピ」は、特定カードのメカニックに重きを置いており、他のカードと組み合わせたシナジー効果とユニークなプレイスタイルを前面に出した応用編だ。デッキのキーコンセプトとしてレアカードを多用するため、より上級者向けのレシピといえるだろう。
たとえばローグの「Empowered Spells」レシピは、攻撃とカードドローのスペルカードが豊富なクラス特性を生かして、スペルダメージを大幅に底上げできるレジェンダリーカード「Malygos」を主軸に構成されている。ハンターの「Deathtrap」レシピは、その名の通り多様なトラップスペルを駆使して常にボードを支配するコントロールタイプ。シャーマンの「Murlocs Unleashed」レシピは、大半のミニオンをMurloc種族に統一することでバフをかける典型的なアグロタイプといった具合だ。それぞれのレシピにユニークなプレイスタイルに応じたテーマが設定されている。
加えて、レシピに必要な特定のカードを所持していない場合も安心。足りないカードをクリックすれば、「Suggest a Card」機能が代用できるカードの候補を提案してくれる。1枚や2枚の材料が不足していても、デッキコンセプトから大幅に外れることはないだろう。こうした機能は、HearthPwnのようなデッキ共有サイトで常にメタゲームのトレンドを追いかけている熟練プレイヤーには不要かもしれないが、右も左も分からないゲーム入門者にとっては、勝つためのデッキを目指すステップアップに繋がることは間違いない。
新たな対戦基準により使用可能なカードに制限
先日には、シーズン毎に対戦モードで使用できるカードを制限するレギュレーションの設置が発表された。カジュアルマッチとランクマッチからなるプレイモードは、これまでどおり全てのカードが使用可能な「Wild」と、特定のカードセットのみが使用できる「Standard」に分割されることになる。ランクマッチに関しては、それぞれに独立したプレイヤーランクが用意される。「Standard」で使用できるのは、ベーシックカードとクラシックパックに加えて、その年と前年にリリースされた拡張パックおよびアドベンチャーパックのカードのみ。毎年、新たなカードセットが追加されるたびに対戦で使用できるカードがシフトしていく。『Magic: The Gathering』のようなトレーディングカードゲームの大会基準と同様の仕組みだ。なおレギュレーションが適用されるのは、プレイモードどフレンド対戦のみで、アリーナとソロプレイのモードは対象外となる。
「Standard」によるカード制限を設ける狙いは、使用デッキのマンネリ化が防ぐことに加えて、じゃんけん要素の強いメタゲームをより動的かつ均衡のとれた状態に保つことだ。新参プレイヤーが重課金で多くのキーカードを集めなくてもトレンドに参加しやすくなるほか、これまでほとんど使用されることのなかったカードが日の目を見ることもあるだろう。また開発者にとっては、新しくカードをデザインする際の自由度が増すという利点がある。今回の決定に関してBlizzardはブログの中で、「カードバランスの変更にはこれまでどおり慎重な姿勢を貫いていく一方で、クラスカードを含めたベーシックカードとクラシックカードセットの多くを見直し、長らく検討中だった調整が施せるよう、新たなHearthstoneの年を絶好の機会とする予定です」と、同作の新たな門出を示唆している。
一年ごとに区切られるゲームシーズンは、それぞれAzeroth(Warcraftシリーズに登場する架空の世界)の夜空に輝く黄道十二星座の名を冠しており、今春からスタートする新シーズンは「Year of the Kraken」。ベーシックカードおよびクラシックパックに加えて、拡張パック「Blackrock Mountain」「The Grand Tournament」、アドベンチャーパック「The League of Explorers」、そして近日発表の2016年春季拡張パックのカードのみが、「Standard」の対戦で使用可能となる。初期のアドベンチャーパック「Curse of Naxxramas」と拡張パック「Goblins vs Gnomes」に含まれるカードの使用は制限される。
レギュレーションの施行に伴い、シーズン対象外となった拡張パックやアドベンチャーパックは、今までのようにストアからは購入できなくなる。欲しいカードがある場合は、不要なカードを分解した際に手に入る「Arcane Dust」を消費してクラフト画面で作るしかない。同時に、従来はクラフト不可だったアドベンチャーカードも作成できる仕様となる。また、アドベンチャーパックを分割購入していたユーザーに関しては、シーズン対象外となる以前に一部のウイングさえ購入済みであれば、残りのコンテンツを入手することは可能とのこと。このほか、作成できるカスタムデッキの上限が引き上げられることも伝えられている。9人のヒーローを全員アンロックしていれば、さらに9スロットが追加されて合計18デッキまでカスタム可能になる。
「Deck Recipes」のようなサポート機能の充実や、「Standard」というレギュレーションの追加で、入門者にとってのハードルが高いという従来のイメージが払拭できるだけでなく、上位ランクになると似たようなデッキしか目に入らなくなるマンネリじゃんけん状態に、より流動性が加わることは間違いないだろう。実装時期は明言されていないが、新拡張パック発売のタイミングに合わせてくる可能性が高い。今や世界のe-Sportsシーンで大いに脚光を浴びる『Hearthstone』だけに、その競技性に更なる磨きがかかることを期待したい。