あるSteamゲーム開発者が、自らの作品のSteam掲示板などからBANされ怒る。規約違反を繰り返しValveから処分
Steamにてゲームを配信している開発者が、自らの作品のSteamコミュニティ(掲示板など)から一時的にBANされたことが明らかになり注目を集めているようだ。海外メディアThe Gamerなどが報じている。
BAN処分を受けた開発者は、Nicholas John Leonhard Gorissen氏。剣闘士養成シミュレーションゲーム『Domina』を手がけたDolphin Barn Incorporatedの開発者だ。同氏は以前、『Domina』のパッチノートに「マスクを外せ」と、ゲームとは関係のない自らの主張を書き込み物議を醸したことで知られる。
Gorissen氏は8月13日、Steamのサポートチームによって、『Domina』のSteamコミュニティからBANされたことを明らかにした。Steamコミュニティには掲示板などが含まれ、開発者がユーザーとコミュニケーションを取ることができる場だ。処分は8月19日までの期間限定とされている。
示されたサポートチームからのメッセージによると、Gorissen氏が2度にわたって、投稿ルール・ガイドラインに違反する書き込みをおこなったことがBANの理由とのこと。同氏は、ほかのユーザーを侮辱したり貶めたりするような投稿をおこなっていたという。また、同氏がユーザーをコミュニティからBANする際に、暴言メッセージを送ることを繰り返していた点についても指摘。サポートチームは、今後さらにルール・ガイドラインを無視するようなことがあれば、Valveとのビジネス関係にも悪影響が及ぶと警告している。
これを受けてGorissen氏は、『Domina』のニュースページに感想を投稿。「開発者らから大金を集めておきながら、彼らの意見をBANするとは、なんて悲しく愚かな会社なのだ」と述べ、さらに汚い言葉も交えながらSteamおよびValveをこき下ろしている。
本件の以前からGorissen氏は、その言動で物議を醸していた。きっかけは、本稿冒頭でも触れたパッチノートにある。今年3月に投稿された『Domina』パッチノートでは、作品のバグ修正やバランス調整などについて説明されたが、そのなかでGorissen氏は「マスクを外せ(TAKE OFF THE FCKN MASKS)」と題して主張を展開。「女性は自信のある男が好きだ。怯えて顔を隠すような男は好きではない」などと述べ、マスクの着用をやめるように呼びかけた。
おそらくGorissen氏は、新型コロナウイルスが感染拡大するなかで、マスクの着用が政府や医療機関などから奨励されている状況があり、それに反対する立場を表明したかったのだろう。ただ、根拠のない例を挙げながら、個人の主義主張をパッチノートに忍び込ませる手法は大きな批判を浴びることに。『Domina』はレビュー爆撃を受け、多数の不評が投じられることとなった(関連記事)。
この出来事以来、Gorissen氏はSteamの掲示板などでユーザーと度々口論を繰り広げてきた。同氏は攻撃的・挑発的なコメントをすることが多く、そうした投稿のなかに、Steamコミュニティのルール・ガイドラインに違反するものがあったのだろう。結果として、開発者が自らのSteamコミュニティからBANされるという、なかなか珍しい展開となった。
もっとも、こうした事態となるのは時間の問題だったかもしれない。というのも、『Domina』の公式Twitterアカウントは現在凍結されており、さらにGorissen氏が制作した楽曲を販売していたBandcampでも、最近になってアカウントがBANされている。いずれも詳細は不明ではあるが、Gorissen氏が何らかの規約違反を犯したことが原因とみて間違いないだろう。同氏は、自らへの批判や異なる意見に冷静に対処できない性格にみえ、それが災いしてあちこちでBANされる結果となったようだ。
なお、Gorissen氏のSteamコミュニティからのBAN期間はすでに終了しているが、現時点では同氏からの新たな投稿はおこなわれていない。Gorissen氏は、先述したレビュー爆撃に関連した対応や今回のBAN処分において、Valveに不信感を募らせている模様。そのため『Domina』については、今後アップデートを提供しない可能性があるとし、「文句があるなら(Valve共同設立者の)Gabe Newellに言ってくれ」とコメントしている。