生きている町、影に覆われた住民たち。アドベンチャーゲーム『A Place for the Unwilling』開発中、”絞って”作り込まれた箱庭空間で謎を追う

開発スタジオAlpixel Gamesは、『A Place for the Unwilling』のKickstarterキャンペーンをスタートした。目標額は20万ユーロ(約2555万)となっており、現時点では4000ドルほどが集まっている状況。キャンペーンは現地時間の3月16日に終了予定となっている。

開発スタジオAlpixel Gamesは、『A Place for the Unwilling』のKickstarterキャンペーンをスタートした。目標額は20万ユーロ(約2555万)となっており、現時点では4000ドルほどが集まっている状況。キャンペーンは現地時間の3月16日に終了予定となっている。

AUTOMATONのIndie Pickコーナーで以前も紹介した『A Place for the Unwilling』は、「生きている町」がテーマのサンドボックスアドベンチャーゲームである。プレイヤーは戦争の英雄などではなく、この町に新たに来訪した1人のトレーダーだ。同作の世界は常に時間が流れており、プレイヤーは生きるためにお金を稼いだり、ほかのキャラクターと交流したり、新聞を読んだりしながら1日を過ごす。そうやって生活を続けながら、この「生きている町」の物語を読み解いてゆく。

なお発表当時は”生きている町が実際の主人公になるゲーム”と伝えられていたが、Kickstarterのキャンペーンページ等を見ると、実際には町に住む1人の住人を操作してプレイするタイプの作品となっているようだ。ただ「生きている町」という設定が無かったことにされているわけではなく、あくまで作品や物語の主人公は生きている町であり、プレイヤーはそれを1人の住人(アバター)を通じて追ってゆくことになる。

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味のあるアニメーション。”絞っている”分、各キャラや町のビジュアルには相当気合が入れられているらしい

『A Place for the Unwilling』はオープンワールド作品であることも明らかにされており、プレイヤーは町のなかを自由に行動することができるという。インディーデベロッパーの規模でオープンワールド作品を開発することは可能なのかという疑問が浮かぶかもしれないが、そこでAlpixel Gamesが選んだ手法は作り込む部分を”絞る”というスタイルだ。

まず舞台となるのはそれほど広くはない1つの町のみとなっており、プレイヤーが新聞などの様々なアイテムにアクションできるよう、町中は深く作り込まれる予定。また町に住む人々も、詳細に描写されるのは約18人ほどのキャラクターに絞られており、それ以外は単なる群衆として”影”のようなグラフィックで描かれている。

また、この”影”のシステムも面白い。ゲームをスタートした時点では、町の住民たちは影に覆われているのだが、物語を進めてゆく内に重要なキャラクターだと判明すると、影が解かれて初めてキャラクター個人として認識できるようになるという。開発陣によれば、それほど頭を捻らせることなく誰が重要なキャラクターかを知ることができるようだが、町中で誰が物語に関わる人物なのかを予想しながら生活を過ごすのは楽しそうだ。

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見下ろし視点の2Dアドベンチャースタイル。人と話したりドアを開けたりする「使用」、周囲のものを調べたりする「調査」、様々なアイテムが収納されている「インベントリ」と3種類のボタンがある

ちなみに『A Place for the Unwilling』は”没入感のある物語”を重視した作品となっており、ポイント&クリックアドベンチャーのようなパズル要素や謎解き要素は極力少なくされているようだ。実際にプレイヤーの生活は、町の散策や他キャラクターとの会話が大半を占めている。この「生きている町」はいったいなんなのか。大きな謎掛けにどのような答えが用意されるのか、開発のAlpixel Gamesの手腕が試されるところだろう。

『A Place for the Unwilling』はPC/Mac向けに開発中、リリース時期は未定だがKickstarterでの各リワードの配信時期は2017年4月とされている。

Shuji Ishimoto
Shuji Ishimoto

初代PlayStationやドリームキャスト時代の野心的な作品、2000年代後半の国内フリーゲーム文化に精神を支配されている巨漢ゲーマー。最近はインディーゲームのカタログを眺めたり遊んだりしながら1人ニヤニヤ。ホラージャンルやグロテスクかつ奇妙な表現の作品も好きだが、ノミの心臓なので現実世界の心霊現象には弱い。とにかく心がトキメイたものを追っていくスタイル。

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