商標登録「GHOST」をめぐりEAとUBIが真っ向から対立、EAの申請に『Ghost Recon』有するUBIが待ったをかける
Electronic Arts(以下、EA)が「GHOST」という単語を商標登録したことに、Ubisoft Entertainment(以下、UBI)が異議を申し立てていたことが、米国特許商標局への出願情報から明らかになった。「GHOST」は、EA傘下のスタジオGhost Gamesを表す商標として、同社が昨年3月に出願したもの。これに対し、UBIは自社商標「GHOST RECON」の権利を侵害するものとして以前から異議を唱えていた。今年1月29日をもって、正式に法的処置に乗り出した形だ。亡霊の名をめぐる業界最大手の衝突が、海外フォーラムNeoGAFを中心に脚光を浴びている。
一般的なワードをめぐり過去にも多くの争い
Ghost Gamesは、スウェーデンの都市ヨーテボリ、英国ギルフォード、ルーマニアの首都ブカレストを拠点に活動するEA傘下のゲーム開発スタジオ。2013年の『Need for Speed Rivals』、2015年のシリーズリブート作『Need for Speed』を手がけたことで知られる。EAは、Ghost Gamesおよび同社提供のサービスの総称として、2015年3月18日付けで「GHOST」の商標権を登録していた。
対するUBIは、『Tom Clancy’s Ghost Recon』シリーズを発売した2001年11月13日より「GHOST RECON」の商標を使用していることから、EAが商標登録するよりはるか以前、ならびに同社が「GHOST」を実際に使い始めた2013年11月19日にも先立つことを主張。オンラインコンピューターゲームの提供という同一の目的を指す商標として、「GHOST」と「GHOST RECON」はあまりにも酷似し過ぎており、消費者の誤解を招きかねないことを理由に権利の侵害を訴えている。この申し立てに対するEAの回答期日は3月9日。亡霊の行方が注目される。
EAは先日にも、2月9日発売予定のパズルアクションゲーム『Unravel』の商標登録が、子供向けボードゲーム「Beary’s Unravel Game」との共通点が多すぎるという理由で、米国特許商標局から却下されたことが話題に上がっていた。共通のタイトルに加えて、糸を使って冒険するというゲームコンセプトが、紐を端から端までたどって遊ぶ幼児向けのおもちゃと混同するに足りると判断されたのだ。一時は、EAがゲームタイトルの変更を余儀なくされることが危惧されていたが、同社はその後、商標登録の却下がゲーム名に影響を及ぼすことはないとの声明を、メディア各社へ向けて発表した。
ゲーム業界の商標権をめぐるキーワード争奪戦は、過去にも多くの事例がある。2011年には、『The Elder Scrolls』シリーズを販売するBethesda Softworksの親会社ZeniMax Mediaが、『Minecraft』で知られるMojangのカードゲーム『Scrolls』のタイトルに異議を唱えた。後に、競合となるゲームには使用しないとの条件で和解。また、2014年には、アプリゲーム『Candy Crush Saga』を運営するKing Digital Entertainmentが、極めて一般的なワード「Candy」の商標登録に乗り出し、同単語を使用した他社タイトルを一網打尽にしようとした事例がある。同社はその後、先立って取得していた「Candy Crusher」という商標だけでこと足りるとの判断から、申請を取り下げている。