PCゲーム販売のGOG.comが開発中のゲームを売る「Games in Development」スタート、早期アクセスの問題点を改善する施策盛り込む
ポーランドのビデオゲーム会社「CD Projekt」は、PCゲーム配信プラットフォーム「GOG.com」にて、開発中のゲームを販売する「Games in Development」プログラムをスタートした。いわゆるSteamで実施されている「Steam早期アクセス」に相当するものだが、販売されるゲームの審査や14日間の無条件での返金など、現在指摘されている早期アクセスの問題点を改善するような対策が盛り込まれているようだ。
現時点で「Games in Development」を通じて販売されているタイトルは『Starbound』『Ashes of the Singularity』『Project Zomboid』『TerraTech』『The Curious Expedition』の5作品。いずれもすでにSteamなどで販売されているタイトルで、現在GOG.com上では15パーセントから最大40パーセントオフのセールが実施されている。
GOG.comは「Games in Development」を通じてリリースされるタイトルについて、“信頼が置けるもののみ”を後押しすると公表している。具体的な審査基準は明らかにされていないが、多数の作品をリリースするよりもプレイヤーに価値ある作品を提供するため、将来有望と見込める作品やコミュニティが求めるタイトルを厳選して提供してゆくようだ。過去に紹介した『Dead Sea』の例からわかるように、ValveがSteamで非常に自由なゲームの販売を認めているのとは対照的と言えるだろう。
またこのほかにも、「Games in Development」を通じて購入した作品は14日以内であれば無条件で返金に対応する制度も発表(なおSteamでは、早期アクセスかどうかに関わらず、購入してから14日以内かつプレイ2時間未満の作品は無条件で返金が認められる)。GOG.comの専用クライアント「GOG Galaxy」を利用すれば、アップデートをマニュアルで管理できることや、以前のバージョンへも容易にロールバックできることもアピールされている。なお発表では触れられていないが、GOG.comで購入できるタイトルはすべてDRMフリーである点も特徴である。
大型プラットフォーム下での早期アクセス販売が進む
『Minecraft』などの作品が「アルファ版を販売する」というビジネスモデルに成功して以降、特にインディーゲーム開発においては広く採用されるようになってきた「早期アクセス販売」。インディーデベロッパーにとっては難しい開発資金の確保や、開発段階でのフィードバックの獲得などが見込める一方で、ゲームの完成を巡り問題が発生する事例が後を絶たない。たとえば早期アクセスで販売されていたものの完成する前に開発者が失踪した『The Stomping Land』の例や、開発資金が底を付き完成することなくプロジェクトが終了した『Windborne』の例などがある。今回の「GOG.com」の「Games in Development」は、そういった既存の問題に配慮したプログラムだと言えるだろう。
「早期アクセス」はSteamやGOG.comだけでなく、すでにコンソールなどの大型プラットフォームでも広まりつつある。Xbox Oneでは「Game Preview」プログラムが展開されているし、ソニーでも早期アクセスタイトルに当たる『AirMech Arena』や『Dungeon Defenders 2』といった作品が販売されている。ますます早期アクセス販売が広がりを見せる中、それにあわせて前述の問題を解消するような取り組みも今後必要となる。