ローグライクと弾幕STGの融合、Arcen Games最新作『Starward Rogue』インプレッション
『Starward Rogue』はArcen Gamesから1月22日にSteamとHumble Storeでリリースされた、ツインスティックシューターのハックアンドスラッシュだ。敵の弾数はすさまじく、最高難度の説明文に『東方』シリーズの名をあげているとおり、弾幕STGをモチーフとしている。
マニアから人気の高いArcen Gamesの代表作は、小粒だがストラテジー要素が強くユニークなプレイ体験を売り物にした『AI War』と『The Last Federation』である。『Starward Rogue』もまた、ただのハックアンドスラッシュにはおさまらないユニークさを持っている。弾幕STGとローグライクの融合だ。
物語は巨大宇宙船メガリスで始まる。艦内スピーカーから気さくに話しかける「Rodney」に対し、プレイヤーであるロボットは一言も発しない。その正体はエンディングまで明かされないが、Arcen Gamesのファンならすぐにわかるだろう(では、彼は何をたくらんでいるのか?)。目的は最終ステージのラスボス、巨大ロボット「Warden」の撃破だ。
ステージ構成は『ゼルダ』シリーズの迷宮を想起する。部屋内の敵を全滅して次に進む。武装は豪華で爽快感があり、ショットの弾数は無限。さらにロケット弾や特殊武器、使い切りのアイテムと、それらはステージ中にいくらでも入手できる。その分、敵の攻撃は熾烈で、おおきな被弾判定もあいまって弾幕と呼ぶにふさわしい。見た目は高難度だが、部屋内の壁や瓦礫に身を隠しながら戦えるので、弾丸雨日のまっただ中に身を置かなくてもよい。
本作の見どころはボス戦だ。ボス部屋は遮蔽物がなく、ここだけ純粋な弾幕STGとなる。ステージの探索で得たアイテムや、敵破壊時の経験値によるレベルアップで自機を目いっぱい強化しよう。弾幕STGに、プレイヤースキルだけでなく、ハックアンドスラッシュの成長要素でも立ち向かう設計である。手軽さと爽快感・探索と生存を両立する、ひねりあるプレイ体験だ。
Arcen Gamesはストラテジーの印象が強いかもしれないが、じつは過去にもアクション・ハックアンドスラッシュを手がけている。『Starward Rogue』の発売日に24時間限定で無料配布されていた『Bionic Dues』である。
『Bionic Dues』は、『Diablo』の醍醐味、収穫物吟味に、『X-COM』の大局的な戦略を融合させたゲームで、『不思議のダンジョン』系のターン制ハックアンドスラッシュ。日本でいうローグライクそのものである。そのターンはソリッドで濃密だ。なお、有志による日本語化パッチがあるので導入を強くすすめる。この場を借りて、有志に感謝したい。
ターン制ハックアンドスラッシュ『Bionic Dues』
物語はロボットが暴走し1200万人が取り残された街で始まる。ロボットは50日後に避難区への一斉攻撃を画策しており、きわめて危険な状況だ。プレイヤーは故郷と人々を守るため、決戦にむけて準備を進め、遠隔操作ロボで街を探索し、ロボの武装を強化し、敵拠点を襲撃していく。ゲームの流れは、マップ選択・ステージ踏破・ロボ強化の繰り返しだ。
ステージ攻略中は敵味方ともに飛び道具をつかう。武器の火力は高いが、ロボの装甲は薄い。射程に入るとほぼ確実に死んでしまう。障害物や曲がり角で身を隠しソナーで敵を呼びつけるなど、慎重なプレイでリスクを排除しなければならない。ステージ中の歩数制限はないが、一撃死の恐怖と主砲・大砲の弾数が緊張をかきたて、達成感と生存の喜びを味わえる。
本作の見どころはロボ強化とマップ選択の連動だ。主砲や大砲など各部位に、ステージ攻略で入手したパーツをつけて強化する。ステージの種類で獲得できるパーツが決められており、計画的な強化が可能だ。日が経つごとに強くなる敵と軍拡競争をくりひろげる緊張は、最終日の決戦でカタルシスをむかえる。開けたステージで、数百機を超える敵大軍に、孤立無援で立ち向かうのだ。プレイ中の成功と失敗はここですべて精算され、勝利の感動はおおきなものとなろう。
上記2本の概要はハックアンドスラッシュである。空腹などステータス管理はなく、出てくる敵を次から次へと倒すだけの親しみやすいルールだ。しかし、つねに敵が強くなりつづけ、低難度面に戻れない。ゆえに危険を冒して武装をあつめなければならない。この2点が生存・探索のローグライク体験を約束する。
SteamとHumble Storeでは、1月29日までローンチセールを実施中だ。新作『Starward Rogue』は10%オフ、『Bionic Dues』をすでに持っているならさらに15%オフとなる(同時購入の特典ではない)。ハックアンドスラッシュのファンはこの機会に入手を検討されたし。