Metaが展開するメタバース「Horizon Worlds」バーチャルアイテムの販売手数料は47.5%に。クリエイターが受け取れるのは約半額
Meta(旧Facebook社)は4月11日、同社が展開するメタバース「Horizon Worlds」における、クリエイター向けの新たなツールのテストを開始すると発表した。まずは少数の選ばれたクリエイターが対象となり、制作したバーチャルアイテムをHorizon Worlds内で販売することが可能になる。その際の販売手数料が、計47.5%になることが明らかになり注目を集めているようだ。海外メディアBusiness Insiderなどが報じている。
Horizon Worldsは、Metaが展開するメタバースだ。昨年12月から、アメリカとカナダで先行してサービスが開始。ユーザーは、VRヘッドセットMeta Quest 2などを用い、自らのアバターを通じて体験する。バーチャル空間にて、ほかのユーザーとさまざまなかたちで交流できるほか、独自のワールドを作成することも可能だという。今年2月時点で、すでに1万以上のワールドが作成・公開されているとのこと。
今回開始されたテストにおいて、Horizon Worldsに参加しているクリエイターは、自らのワールド内にて独自に制作したバーチャルアイテムを販売できるようになるという(18歳未満は購入不可)。アイテムの例として、アバター向けアクセサリなどのファッションアイテムや、ワールド内の特定のエリアへのアクセスが可能になる鍵が挙げられている。
一方で発表のなかでは、アイテム販売における手数料についての具体的な言及はない。そこで前出のBusiness InsiderがMetaの広報に確認したところ、最大47.5%になることが明らかになったそうだ。内訳はというと、アイテム販売をおこなうMeta Questストアが30%を徴収し、その残額に対してプラットフォームであるHorizon Worldsがさらに25%(販売金額の17.5%)の手数料を徴収する。たとえば1000円のアイテムを販売すると、クリエイターが受け取れる金額はおよそ半額の525円になる計算だ。
MetaのCEO Mark Zuckerberg氏はかつて、AppleがApp Storeの手数料を30%に設定していることについて、クリエイターが収益を得ることを難しくしているとコメント。Metaがメタバースを構築する際には、クリエイターがより多くの収益を得られるように取り組むとしていた。今回明らかになったHorizon Worldsの47.5%という手数料設定は、そうした発言に反し、高すぎるのではないかと指摘されている。
Metaは、今後Horizon WorldsをMeta Quest以外のプラットフォームにも展開していく意向を示している。その場合もMetaが収益を得られるようにするために、Horizon Worldsとしても別に手数料を徴収するのだろう。展開されるプラットフォームによっては、47.5%を下回ることもあるかもしれないが、結果的には高い手数料をクリエイターに課すかたちになっている。
もっともMetaのHorizon Worlds担当バイスプレジデントVivek Sharma氏によると、この市場においては、非常に競争力のある手数料に設定したのだそうだ(The Verge)。こうした発言は、『Roblox』 など競合他プラットフォームを意識したものであるかもしれない。今回のテストを通じて、そうした手数料設定について今後クリエイターがどのような反応を示すのか、またそれに対してMetaはどのような手を打つのか注目されそうだ。