『FFXIII』の女主人公「ライトニング」がルイ・ヴィトンとコラボ、ファッション誌のインタビューに答える
仏ファッションブランド、ルイ・ヴィトンの2016年春夏コレクションを彩るキャンペーンに、『ファイナルファンタジーXIII』の女主人公「ライトニング」がファッションモデルとして選ばれた。スクウェア・エニックスとルイ・ヴィトンのコラボによって実現した前代未聞のキャンペーンに、本来ゲームとは疎遠なファッション業界も一目を置いているようだ。「ライトニング」本人との対談を想定したQ&Aを、英国のニュースサイトThe Telegraphが掲載している。「ライトニング」が語る自身にとってのファッションとは。ルイ・ヴィトンのクリエイティブディレクターが影響を受けたというゲームファッションの可能性に迫る。
電光石火で変化するファッション業界
「私の服は生き残るためのアーマー以外の何物でもない。“着飾る”なんて文字はこれまで私の辞書に存在していなかった。こんなことを言う私はアンバサダーには相応しくないのかもしれないけれど、この経験は私の目を開かせてくれた。ファッションは教えられたり与えられたりするものではなくて、自身の好みやチョイスから生まれるもの。周囲の人間に自分が何者であるかという本質を示すものだ」。ルイ・ヴィトン大使に任命された経験が、「ライトニング」にとってのファッションという概念を大きく変化させたのだという。「とても興奮するんだ。未知の世界へ旅している時によく似た感情。幾度となく危険と対峙してきた私でもこれまで経験したことがないようなスリル。ルイ・ヴィトンは私が心の底から楽しめる新たな冒険。新たなファンタジーだ」。
ルイ・ヴィトンでクリエイティブディレクターを務めるNicolas Ghesquière氏によると、今回「ライトニング」が着用しているコレクションの大部分はゲーム作品から着想を得たのだという。ファッションモデルにゲームのキャラクターを選ぶという前代未聞の決断を次のように振り返っている。「ライトニングは世界的な女性のヒロイン像、そして私たちの生活にソーシャルネットワークや情報伝達が継ぎ目なく押し寄せた今の世界にぴったりなのです。また、彼女は新たなピクトリアリスム(19世紀後半から20世紀初頭にかけて流行した写真の潮流、絵画主義ともいう)の象徴でもあります。写真やデザインにおける古典主義を超越したイメージをどう生み出すか。ライトニングは表現における新時代の到来を告げているのです」。
また、Ghesquière氏のビジョンや彼のコレクションをどう思うかと問われた「ライトニング」は、「彼のスタイルは私にとって新しいものだけど、彼のコレクションを見た瞬間、落雷(Bolt of “Lightning”)に撃たれたような気持ちだったかな。これは人を変えるものだってすぐ分かった。私を変えるものだって」と、自身の中に眠る新たな可能性を呼び覚ます出会いであったことを明かした。「私の直感は正しかった。彼のコレクションは穏やかで誇り高い感情で私を満たしてくれた。今までずっと、私に似合うスタイルは自分をそのまま写しだしたものだと思ってた。強くてタフなイメージかな。だけど私は間違ってた。自分自身の見つめ方を彼が変えてくれたんだ。私はようやく自分が真に何者であるのかを学び始めているのかもしれない」。それはまさに、『ファイナルファンタジーXIII』で彼女が抱いていた葛藤なのだろう。
そのほか、ジェニファー・コネリーやミシェル・ウィリアムズ、アリシア・ヴィキャンデルといった女優たちと肩を並べてヴィトンファミリーの仲間入りを果たしたことについて、「ライトニング」は彼女らを何光年も離れた場所で輝く遠い存在と表現。追いつくために学ばなければいけないことが山ほどあると語っている。しかし、大女優を星に例えたその表現からは、電光石火の異名を持つ自身の名前に秘めた可能性もうかがえる。「幸いにも私は諦めるような人間じゃない。私の強みの一つは“経験”だ。苦難を乗り越えたり始めたことにケリをつけたりするのには慣れている。“できるかできないかじゃなくて、やるだけだ”って言葉を忘れないかぎり、どんな挑戦とも向き合える」。ファッションモデルという新たな挑戦がどんなに遥か彼方への冒険だとしても、光の速度で飛んでいける。それが「ライトニング」なのだろう。その言葉からはGhesquière氏が語る新時代への可能性があふれている。