“怪談話”を共有するホラーゲーム『Kaidan』が開発中。「自作の恐怖シナリオ」を語り合え、非対称のマルチプレイヤー対戦アクション

発売前や発表されたばかりのインディーゲームから、まだ誰も見たことがないような最前線の作品を紹介してゆく「Indie Pick」。第215回目は『Kaidan』をピックアップする。

発売前や発表されたばかりのインディーゲームから、まだ誰も見たことがないような最前線の作品を紹介してゆく「Indie Pick」。第215回目は『Kaidan』をピックアップする。昨年夏に話題となった『The Flock』や、「13日の金曜日」が題材の『Friday the 13th: The Game』など、非対称の対戦ルールを搭載したマルチプレイヤーホラーゲームが近年ひそかに熱を帯びつつある。『Kaidan』もそんな非対称の対戦ホラーゲームの1つとして開発が進められているタイトルで、さらに「怪談話」をテーマに独自のシナリオ制作&共有システムを盛り込んでいるのが特徴だ。

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根幹となるのは一人称視点の対戦マルチプレイヤーアクション。ここにかなり自由度の高いシナリオエディターが付属する模様

『Kaidan』は百物語などに代表される怪談会(複数人で集まって怪談話をする会)がコンセプトとなっている作品である。プレイヤーは「語り手」として独自の設定やストーリーを盛り込んだ「怪談シナリオ」を製作し、それをほかのプレイヤーたちと共有する。その怪談シナリオをもとにプレイヤーたちは襲う側である「悪役(幽霊や殺人鬼など)」と、襲われる側である「被害者」に別れ、ゲーム内で勝敗を競い合うというわけだ。YouTubeにて公開されたデビュートレイラーなどを見る限りでは、本作は一人称視点のアクションゲームとなっており、1人の「悪役」と複数人の「被害者」が戦うことになるようである。

一見すると単にカスタムミッションを共有するだけの単純な対戦ゲームに見えるのだが、肝心のシナリオ自作エディターはすでにテスト版が公開されており、どうやらプレイヤーはかなり詳細な部分まで物語を詰めることができる。現時点では4種類の悪役クラス「ゴースト」「デーモン」「サイコ」「ゾンビ」が公開されており、さらに悪役の名前からその人物背景、被害者たちを襲う動機などを記したり、被害者たちを追い詰めるためのアビリティも自由に設定が可能。また舞台となるマップとのその設定、被害者の数や名前、所持しているアイテムに各人の性別なども決定することができる。強大な力を持つ悪魔と神父が死闘を繰り広げる「エクソシスト」的な設定から、あるいはサイコパス殺人鬼と人間たちが宇宙船で死闘を繰り広げる「ジェイソンX 13日の金曜日」的な設定まで。自由自在に物語を味付けできる点が、『Kaidan』最大の魅力となるようだ。

このほかエディターでは、次のステージへと進むための鍵や真相といったキーとなる要素を設定したり、詳細なマルチエンディングを設定することもできる。もし『Kaidan』のゲームに人が集まりコミュニティが形成されたのなら、プレイヤーたちは本物の「百物語」のように、多彩な怪談シナリオを楽しむことが可能になるだろう。ただ、はたしてシナリオエディターにて記した物語やバックストーリーはフレーバー程度にとどまるのか、それ以上になるのか。どの程度までプレイ体験に強い影響を与えるかは気になるところだ。

『Kaidan』はPC/MacおよびMac向けに開発が進められており、現時点でリリース時期は明らかにされていない。2月23日からKickstarterにてクラウドファンディングを実施する予定とのことで、さらなる詳細を聞くことができそうだ。

Shuji Ishimoto
Shuji Ishimoto

初代PlayStationやドリームキャスト時代の野心的な作品、2000年代後半の国内フリーゲーム文化に精神を支配されている巨漢ゲーマー。最近はインディーゲームのカタログを眺めたり遊んだりしながら1人ニヤニヤ。ホラージャンルやグロテスクかつ奇妙な表現の作品も好きだが、ノミの心臓なので現実世界の心霊現象には弱い。とにかく心がトキメイたものを追っていくスタイル。

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