偽物の『Minecraft Pocket Edition 2』がApp Store売上ランキング4位にランクイン。中身は2Dゾンビゲーム

『Minecraft Pocket Edition 2』なるものがイギリスのApp storeの売上ランキング4位に現れていたことが話題となっている。当該ゲームは6.99～10.99ドルで販売されており、商品説明には「Minecraft新作がユニークですばらしい新要素を引っさげて登場！すばらしい城や庭を作ったり、サバイバルモードで生死をかけて争ったり、さまざまな楽しみ方ができる！同じモバイルアプリ版を持つ友人やWindows 10版を持つ友人と協力しよう。」と描写されていたが、これは『Minecraft Pocket Edition』の説明文をコピーしただけで、真っ赤な嘘であったようだ。

実際にこのゲームを購入したEurogamerによると、ゲーム内容はゾンビが『Mortal Kombat』のScorpionを攻撃するだけの単調なミニゲームとなっていたという。Eurogamerはこのゲームを「数分間遊んだが、すぐにクラッシュしてしまった。明らかに買うべきではないゲーム」と評している。

App Storeの『Minecraft Pocket Edition 2』の発売元として記名されているのはScott Cawthornという人物だ。このゲームはMojangから発売されておらず、そもそもデベロッパーですらない。Scott Cawthornという名前はおそらく偽名であり、『Five Nights at Freddy’s』シリーズの開発者であるScott Cawthon氏を意識してのことだろう。Scott Cawthornを名乗る人物はこのゲームのほかにも『Mortal Kombat』や前出の『Five Nights at Freddy’s』のダミーアプリを発売しているようだ。

Eurogamerがこの件についてMojangに問い合わせると、Mojangはすぐに著作権と商標の違反からApp Storeへ削除の申し合わせを行ない、App Storeから当該タイトルは削除された。Mojangの社長であるOwen Hill氏は今回の件について「『Minecraft』が多大な人々へインスピレーションを与えているのはすばらしいが、一線を越える商品が現れた時はこちらも踏み入らざるをえない」と心中を明かしている。

以前から『Minecraft』クローンは市場と問わず大量にリリースされていたが、App Store/Google Playではクローンレベルではなくコピーと言えるほどのゲームもあり、それらが売上ランキングに顔を見せることすらあった。最近はそれらのタイトルも取り締まられてきたように見えていたが。しかし今回、真正面から『Minecraft』を騙るダミーゲームが現れ、それがApp Storeの審査を通過してしまったことは驚きだ。

Googleキャッシュでは発売中止になる前のApp Storeページを閲覧できる。スクリーンショットでは明らかに『Minecraft』シリーズの系譜を匂わせているが、中身は全くの別物である。3人のレビュアーが☆5をつけてさまざまな表現で「すばらしいゲームだ」と絶賛しているが、このレビュアーは前述した『Mortal Kombat』や前出の『Five Nights at Freddy’s』のダミーアプリでも同様のレビューをしており、明らかなサクラだと思われる。著作権の部分には「©Mojang AB」や「©2015 Bethesda Softworks LLC. All Rights Reserved.」と表記するなど、巧妙な手口でAppleの目を逃れたようだ。100以上のレビューがついていたことから、おそらく多くの被害者が生まれたことが予想できる。

モバイルアプリのストアでは『Minecraft』関連のみならず、『Goat Simulator』や『Euro Truck Simulator』のコピーゲームなども盛り上がりを見せている。また、Google Playではコンソール機のエミュレーターが公然と販売されるなど、グレーなタイトルも多い。膨大な数のアプリを審査するには困難が伴うだろうが、AppleとGoogleには厳正なるチェックを願いたいところだ。