『ポケモン スカーレット・バイオレット』御三家ポケモンに「二足歩行しないで」と願う人々続出。成長のジレンマ
株式会社ポケモンは2月27日、『ポケットモンスター スカーレット・バイオレット』(以下、ポケモン スカーレット・バイオレット)を発表。あわせて、パートナーとなる3匹のポケモンを公開した。個性豊かなポケモン3匹は、さっそく注目を集めている。とりわけニャオハについては「二足歩行をしないで」と願われているようだ。
『ポケモン スカーレット・バイオレット』は、『ポケモン』シリーズ最新作。街やフィールドがシームレスにつながるオープンワールドマップを採用しており、広大な地での冒険が繰り広げられる。開発はゲームフリークが担当し、2022年冬にNintendo Switch向けに発売予定。
公開された情報はかなり限られているが、最初のパートナーとなる3匹のポケモンが明かされた。くさねこポケモンのニャオハ、ほのおワニポケモンのホゲータ、こがもポケモンのクワッス。いずれも、印象に残りやすく可愛らしいデザインのポケモンだ。しかし、彼らの姿を見て懸念する人もいるようだ。というのも、この3匹の「進化」を心配しているという。『ポケモン』御三家の歴史から見られる、進化のジレンマが存在する。
『ポケモン』シリーズは初期作品から、最初のパートナーポケモンは、仲間になる段階ではかわいいデザインとして登場する。成長するにつれて変化し、最終進化は勇猛なデザインになる。ヒトカゲからリザードン、ゼニガメからカメックス、フシギダネからフシギバナ。いずれも、最初の形態から大きく姿を変えている。ある意味お決まりであり、伝統でもある。しかし作品によっては最終進化系の獰猛さが強く、初期形態と最終進化系の姿の乖離が大きいポケモンもいるわけだ。
とくに話題にのぼるのが、ハリマロンとニャビーだろう。ともに初期デザインでは非常にかわいらしいビジュアルで登場する。しかし最終進化系ではかなりゴツく仕上がる。ハリマロンは、甲羅とトゲを身に着けたブリガロンに、ニャビーは立ち上がり猛々しくプロレスするヒールポケモンガオガエンに進化。全体的な傾向として、四足で歩いていたポケモンが進化するにつれ二足歩行となり、成長するケースが主流。またそれらのパターンは御三家に限らない。それゆえに、「二足歩行にならないで」と願う声が多いようだ。「二足歩行」は深夜から朝にかけて国内Twitterでトレンド入りしていたほか、「ガオガエン」といったワードもトレンド入りを果たしていた。
とくにニャオハについては可愛らしさを評価する声も多い。SNS上では、二足歩行にならないでと願う声のほか、既存のゴツめのポケモンにニャオハの顔を当てはめるコラージュを張るユーザーも出現。ちょっとした大喜利大会と化しているようだ。また従来の猫ポケモンが、進化するとその可愛らしい容姿から大きく変化するケースが多いという点も、コンテクストとしてあるのだろう。
ちょっと風当たり強めに見える御三家の最終進化系であるが、彼らの存在が否定されているわけではない。『ポケモン』とは進化と成長の物語。ストーリーの進展や主人公の成長にともない、パートナーに選んだポケモンたちも姿を変えていく。ある意味では、最終進化系はゲームの進行ともシンクロする。しっかりとした役割をもっているわけだ。デザインについても凝ったものが多く、美しさや格好良さを内包した姿として描かれている。あくまで「かわいいままでいてほしい」という声が多いだけであり、ブリガロンやガオガエンもまた、ユーザーに愛されるポケモンである。ニャオハも含めて、初期ポケモンのデザインが優れているからこそ、変わらないでいてほしいと望む声があるのかもしれない。
いずれにせよ、デザインが公開されただけでこれほど話題になるというのは、さすが『ポケモン』といったところだろう。クワッスについてはドナルドダックと似ているとして注目され、ホゲータはワニワニくんのようだと笑いを誘っている。進化後もまた、それぞれ異なるかたちで、ポケモンは愛されていきそうだ。
『ポケットモンスター スカーレット・バイオレット』 は、2022年冬発売予定だ。
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