任天堂が『メトロイド ドレッド』無敵バグを修正。わざわざ“修正した理由”を説明する珍しい一幕

任天堂は11月17日、『メトロイド ドレッド』更新データVer. 1.0.3を配信した。同アップデートでは、サムスのダメージ判定が消失する問題を修正したという。一見すると単なるバグ修正であるが、やや珍しいケースでもある。

任天堂は11月17日、『メトロイド ドレッド』更新データVer. 1.0.3を配信した。同アップデートでは、サムスのダメージ判定が消失する問題を修正したという。一見すると単なるバグ修正であるが、やや珍しいケースでもある。というのも、任天堂がわざわざバグを修正した理由を説明しているのだ。理由としては、以下のように述べている。

本件につきましては、意図せず発生する可能性もあり、発生した場合は本来の『メトロイド ドレッド』の遊びかたとは大きく外れたプレイ体験となってしまうため、修正する判断をしました。

やや遠回しな言い方ではあるが、「意図して利用しているユーザー」に向けての説明と解釈すれば、その内容も理解しやすくなるだろう。なぜこの言い方がされているのかというと、今回修正された“サムスのダメージ判定が消失する問題”は、RTAなどで使われるテクニックのひとつでもあったのだ。


この問題は、無敵バグとも呼ばれていた。手順としては、モーフボールになりながらE.M.M.I.ゾーンゲートに侵入しつつ、モーフボールを解除することで発生。このバグが発生すればサムスからダメージ判定が消失するのだ。 敵が攻撃を仕掛けてきても、そもそも判定がないのでダメージを受けない。さらに強化スーツなしでも、寒暖地帯にてダメージを受けなくなる。その名のとおり、無敵になるわけだ。それゆえに、RTAなどで活用されていたわけである。

特徴は再現の容易さにある。モーフボールになって、E.M.M.I.ゾーンゲートに入る直前で解除。たったこれだけで無敵になれるわけだ。ただしE.M.M.I.ゾーンゲート自体が無敵状態のキーになっており、同ゲートをくぐると解除される。またエリアを移動することでも解除される。ある程度制約はあるものの、灼熱ゾーンもそのまま突っ切れることから、通常の攻略ルートをスキップしたりといったことが可能。RTAで重宝されるのも納得だろう。


一方で開発が想定していないであろうバグであることから、バグを使った先で詰んでしまうといったケースも報告されていた。さらに再現性が高いため、このバグを利用するつもりがなくても発生してしまうこともありうる。そうした経緯を考えれば、「意図せず発生する可能性もあり、発生した場合は本来の『メトロイド ドレッド』の遊びかたとは大きく外れたプレイ体験となってしまうため」という任天堂の修正説明も腑に落ちるかもしれない。

『メトロイド ドレッド』ではRTAも盛ん。現在の最速タイムはany%ルールで、1時間10分42秒(ゲーム内時間1時間25分46秒)。日本人プレイヤーのバネ氏による記録である。同作にはほかのシリーズ作品の例に漏れず、数多くの“抜け道”が存在し、それらがシーケンスブレイクとして利用されていた。無敵バグもそうした抜け道のひとつであった。もし何の告知もなく修正されれば、突然道を塞がれたと思うプレイヤーもいることだろう。そのため、任天堂はRTA走者への配慮をうかがわせる告知をしたのかもしれない。


修正自体は妥当で、納得できるプレイヤーがほとんどかと思われる。一方で、今回の修正と説明においては、RTAプレイヤーを意識していることがうかがえる。任天堂は非公式の動きにはあまり反応しないゲーム会社であるがゆえに、やや珍しい一幕となった。日々記録更新が続く同作のRTAシーンが今回の修正を受けて、どのように変化するのか注目である。

『メトロイド ドレッド』はNintendo Switch向けに発売中だ。




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Ayuo Kawase
Ayuo Kawase

国内外全般ニュースを担当。コミュニティが好きです。コミュニティが生み出す文化はもっと好きです。AUTOMATON編集長(Editor-in-chief)

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