Nintendo Switch版『キングダム ハーツ』シリーズ3作品、クラウドバージョンとした背景には「ゲームの容量」があった。スクエニが明かす

スクウェア・エニックスは、『キングダム ハーツ』シリーズ3作品をNintendo Switch向けに今後発売する。それらの作品は、“クラウドバージョン”として発売されると発表されているが、その背景のひとつには容量の問題があったようだ。

スクウェア・エニックスは、『キングダム ハーツ』シリーズ3作品をNintendo Switch向けに今後発売する。同シリーズの主人公ソラの『大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL』への参戦発表にあわせてアナウンスされ、ファンにとっては2重のサプライズとなったことだろう。それらの作品は、“クラウドバージョン”として発売されると発表されているが、その背景のひとつには容量の問題があったようだ。


今回Nintendo Switch向けに発売されるのは、『キングダムハーツ HD 1.5+2.5 リミックス』『キングダムハーツ HD 2.8 ファイナルチャプタープロローグ』『キングダムハーツIII + Re Mind』の3作品だ。シリーズのメインタイトルを網羅するラインナップとなっており、『スマブラSP』に参戦するソラは、どのようなキャラクターなのかを知ることができる内容であるともいえる。そしてこれらの作品は、いずれもクラウドバージョンとして発売されるという。

クラウドバージョンとは、ゲームをNintendo Switch本体にインストールせずサーバー側で実行し、プレイヤーの操作が反映されたゲームプレイの映像を、インターネット越しに都度受け取るかたちで楽しめるタイトルのこと。他プラットフォームでは、PS NowやXbox Cloud Gamingなどサービスとしてクラウドゲームが提供されているが、Nintendo Switchではタイトル単位で採用。これまでに『バイオハザード7』や『アサシン クリード オデッセイ』『HITMAN 3』『Control』などがリリースされている。

クラウドを使えば、Nintendo Switchの性能に合わせた最適化は基本的に不要。とはいえ、プレイ中は常時オンライン接続が求められるため、通信環境の整った場所でしかプレイできないという制限がある。多少ビジュアルクオリティなどが下がったとしても、Nintendo Switch本体で動作するよう移植した方が、ユーザーのプレイ環境という面ではメリットは大きいといえるだろう。


ただ、海外メディアNintendo Lifeのインタビューに答えた『キングダム ハーツ』シリーズのプロデューサー間一朗氏によると、今回発表された3作品のNintendo Switch向けリリースにあたってはさまざまな困難があったそうだ。そのひとつとして、Nintendo Switch本体のストレージ容量を挙げている。

Nintendo Switchの本体保存メモリーは32GB(有機ELモデルは64GB)であり、システム領域を除けば、ゲームのインストールに使える容量はさらに少なくなる。3作品のなかでもっとも容量の少ない『キングダムハーツ HD 2.8 ファイナルチャプタープロローグ』は、PC版では35GB以上の空き容量が必要だとされており、これなら本体保存メモリーに収まるサイズに最適化できるかもしれない。しかし、PC版の『キングダムハーツ HD 1.5+2.5 リミックス』では60GB以上、『キングダムハーツIII + Re Mind』に至っては75GB以上を必要としている。これらのタイトルを32GB以下に収めるのは厳しそうである。

もちろん、microSDカードで容量を拡張することは可能。実際、microSDカードの利用を前提にした大容量作品も存在する。それでも、スクウェア・エニックスとしてはユーザーに追加負担を求めず、本体保存メモリーも圧迫させないことを優先したようだ。同社は2019年のUNREAL FESTにて、『ドラゴンクエストXI 過ぎ去りし時を求めて S』の開発にあたっても、本体保存メモリーを意識して容量削減に努めたことを明かしている(ファミ通)。

では、『キングダム ハーツ』シリーズもいずれNintendo Switch向けの最適化を施し、移植される可能性はあるのだろうか。この問いに対して間氏は、Nintendo Switch上でネイティブに動作するバージョンの開発は、現時点で決定していることは何もないとコメント。そして、同シリーズをNintendo Switchユーザーに届けるには、今のところはクラウドバージョンが最適な方法であるとした。


Nintendo Switchでは、たとえば『ウィッチャー3』のような大型タイトルも移植されており、『キングダム ハーツ』シリーズの移植も技術的には不可能ではないかもしれない。とはいえ、大ボリュームの3作品のリリースにあたって本体保存メモリーの容量を意識するとなると、難しい判断が求められたのだろうと推測される。また、そうした移植には多大なコストを要し、それが3作品あるとなれば、その手間や困難は計り知れない。容量以外の面でも断念する理由は多そうである。

『キングダムハーツ HD 1.5+2.5 リミックス』『キングダムハーツ HD 2.8 ファイナルチャプタープロローグ』『キングダムハーツIII + Re Mind』のNintendo Switch版は、クラウドバージョンとして発売予定。配信時期は未定である。

Taijiro Yamanaka
Taijiro Yamanaka

国内外のゲームニュースを好物としています。購入するゲームとプレイできる時間のバランス感覚が悪く、積みゲーを崩しつつさらに積んでいく日々。

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