ヤンデレ・ステルスゲーム『Yandere Simulator』無料デモ版に前日譚モードが実装。本編を完成させるための大きな一歩

個人開発者YandereDevは10月11日、現在開発中の『Yandere Simulator』に1980s Modeを実装したことを発表した。かねてから10 Rivals Updateと呼ばれていた大型アップデート。本編の完成が近付く。

個人開発者YandereDevは10月11日、現在開発中の『Yandere Simulator』に1980s Modeを実装したことを発表した。かねてから10 Rivals Updateと呼ばれていた大型アップデートで、公式サイトにて配布中のデモ版に実装されている。本編の前日譚となっており、Ayanoの母Ryobaが主人公となる。


前日譚に言及するために、まず『Yandere Simulator』本編について説明しよう。『Yandere Simulator』は、ステルスアクションゲームだ。主人公となるのはYandere-chan ことAyano Aishi。女子高生であるAyanoは、空虚な気持ちを抱きながら生きていきてきた。しかしある日、同じ高校の年上の男性Senpaiに出会い一目惚れをしたことで、強烈な愛情を抱く。しかし、Senpaiの周囲にはさまざまな女子(ライバル)がおり、Senpaiと親交を深めるチャンスを狙っている。Yandere-chanは、歪んだ愛情をもって、周囲の女子たちを排除していくのだ。

『Yandere Simulator』の舞台は大きな学校。それぞれのキャラは各々の時間を過ごしているほか、学校内ではさまざまなイベントが発生する。学校内を散策することで、各キャラの行動パターンを把握したり、部活に参加。調査を進めながら、暗殺の機会を窺う。殺害現場を生徒に見つかってしまえば、校内で騒がれ拘束されるほか、Senpaiにも嫌われてしまう。誰にも見つからず各キャラを排除していくことが求められる。こうしたコンセプトからわかるように、『Hitman』シリーズから影響を受けている。


本作は2014年から開発が始まり、すでに7年にもわたり制作されている。パブリッシャーの加入と離脱、幾度の開発休止など、さまざまなトラブルを経ながらも作られてきた。ゲームとして出来上がりつつあるものの、大きな課題を抱えていた。それは、ライバルの開発に時間がかかっていること。本作は10週にわたり10人のライバルが登場するシステムが採用される予定だが、その肝心のライバルたちがまだ完成していない。というのも、各ライバルの仕草やアニメーションにもかなり力を入れる計画があり、中途半端に実装したくないという。一方で、ライバルを実装できないことで10週システムもゲーム内に実装できず、プレイヤーにゲームプレイループをテストしてもらえないという。こうした現状を踏まえて実装されたのが、今回発表された1980s Modeだ。

1980s Modeでは、プレイヤーは本編主人公Ayano Aishiの母Ryobaとなる。かねてから夢見ていた“運命の人”に出会ったRyobaは、彼の周りの女性を排除していく。1980s Modeは、本編と違いすでに完成済みで、エンディングも実装されている。本編は学校という場所を舞台としたサンドボックスゲームとなっており生徒たちが存在するが、1980s Modeでは生徒たちの姿はなく、指定された場所に誘導され、暗殺方法や証拠隠密の図り方を学ぶ一本道のチュートリアル仕立てになっている。


このモードでは、アセットは基本的に本編の流用となっており、ライバルが10体実装されているものの、本編のライバルとは違い簡易的な作りのキャラである。このアイデアにより、本編のライバルを中途半端に登場させず、おおまかなゲームの流れをプレイヤーに体験してもらうことが可能となった。一方で、本編につながる前日譚ということで、ストーリーはしっかりと作られているという。専用のボイスやVHSエフェクトなども導入されており、力が入っているようだ。この前日譚にて、試験的に10人のライバルや新システムを実装することでゲームの流れをプレイヤーに体験してもらい、そのフィードバックをもとに本編を改善していくわけだ。

『Yandere Simulator』本編は引き続き、開発中。YandereDevは昨年末にクラウドファンディングキャンペーンの計画を明かし、その成功によって発売時期やコンテンツが変化すると述べていた。現時点でクラウドファンディングキャンペーンは実施されていないが、同キャンペーンのストレッチゴールとして予定されていた1980s Modeの実装を、自力で成し遂げたわけだ。現在はPatreonの月額支援と募金やスポンサーなどのカンパによる生活資金をもとに、基本的にYandereDevひとりでの開発が進められている。いつ完成するかについては明言を避けているが、開発は佳境に入っているようである。

『Yandere Simulator』デモ版は、公式サイトよりダウンロード可能だ。YandereDevは1980s Modeについて、10月12日に新たな動画を出し詳細に説明するとのこと。


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Ayuo Kawase
Ayuo Kawase

国内外全般ニュースを担当。コミュニティが好きです。コミュニティが生み出す文化はもっと好きです。AUTOMATON編集長(Editor-in-chief)

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