事故、火災、カニバリズム…人類初の火星ミッションは地獄の様相に。”ダイス”で運命を決めるボードゲーム風宇宙ストラテジーゲーム『Tharsis』が開発中

発売前や発表されたばかりのインディーゲームから、まだ誰も見たことがないような最前線の作品を紹介してゆく「Indie Pick」。第202回目は『Tharsis』をピックアップする。

発売前や発表されたばかりのインディーゲームから、まだ誰も見たことがないような最前線の作品を紹介してゆく「Indie Pick」。第202回目は『Tharsis』をピックアップする。本作は人類初の火星ミッションをテーマにしたターンベース型ストラテジーゲームだ。プレイヤーは数名の宇宙飛行士からなるチームを指揮し、次々と振りかかる宇宙の災厄に打ち勝たなければならない。内容的には『FTL: Faster Than Light』あるいはダークファンタジーRPGの『Darkest Dungeon』に近い作品と言えるだろう。

プレイヤーは様々な役割や能力を持った4人の船員を率いて、事故により破壊された宇宙船を修理したり、研究などの様々な任務をクリアしてゆく。最終的な目標は火星ミッションを成功させエンディングを迎えることだが、それまでの道のりは前途多難だ。火災や水漏れ、船体に穴が空いたり食料が不足したりと、NASAの歴史上で発生したリアルな事故が次々とスペースシップを襲う。

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キャラクターがどれだけの怪我を負うかダメージ判定するダイスロールも。火星ミッションの成否はダイスの運命によって決まる

ゲームはターンベースで進行するが、ユニークなのが「ダイス」を振って様々な任務をこなしていくというデザインだ。プレイヤーは複数のダイスをターンごとに振り、どのダイスを何に対して使うかを決定することができる。たとえば船体の穴を防ぐためには「出目30分のダイス」が必要で、特定の研究を終えるためには「1から6のダイス」を揃えなければならない。モジュールを起動するには特定のダイスを配置する、医療船員のクラスアビリティは「出目5以上のダイス」を消費してアクティブにする。限られたダイスをどこに使うのか、あるいは次ターン以降に使用できるよう保持しておくのか、リロールするのか、プレイヤーは頭を悩ませることになる。

『Tharsis』はリソース管理ゲームの側面も持っており、プレイヤーは船員たちの食料を確保し、彼らの精神状態を上手く維持しなければならない。時おり発生するサイドプロジェクトでは、各船員の提案からどれかを選択することになり、どの選択も体力や精神面やリソースに様々な影響を与える。『Tharsis』において食料が重要なリソースとなるのは想像に難くないだろうが、興味深いのは同作が「カニバリズム」にも対応しているという点だ。プレイヤーの選択によって船員が死亡すると、その人物の肉をリソースとして消費するかといった選択肢も出てくるという。カニバリズムの決断を下すと、船員たちには重大な精神的ストレスが降りかかり、さらに以降のプレイイングではダイスが真っ赤な血に染まるそうだ。

『Tharsis』はサンフランシスコに2008年設立された「Choice Provisions, Inc.」(旧Gaijin Games、『Bit. Trip』などの開発元)によって開発が進められている。開発は2年前よりスタートしており、当初は紙とダイスで遊べるボードゲームのプロトタイプ版を制作していたそうだ。ゲームメカニックの品質と、市場にはない独自の作品性を確実にするため、長い期間にわたりコンセプトを練り続けていたと公式PlayStation.Blogにて語っている。

ダイスのプレイヤーの選択によって進んでいく火星ミッションストラテジー『Tharsis』は2016年1月にリリース。PC版がSteam、さらにPlayStation 4でも配信予定となっている。

Shuji Ishimoto
Shuji Ishimoto

初代PlayStationやドリームキャスト時代の野心的な作品、2000年代後半の国内フリーゲーム文化に精神を支配されている巨漢ゲーマー。最近はインディーゲームのカタログを眺めたり遊んだりしながら1人ニヤニヤ。ホラージャンルやグロテスクかつ奇妙な表現の作品も好きだが、ノミの心臓なので現実世界の心霊現象には弱い。とにかく心がトキメイたものを追っていくスタイル。

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