探索アドベンチャー『The Market of Light』Steamにて無料でリリース。Unreal Engine 5の最新技術を短篇ゲームで体験
株式会社ヒストリアは9月28日、短篇探索アドベンチャー『The Market of Light』をSteamにて配信開始した。Unreal Engine 5の技術デモを兼ねたゲームだ。価格は無料となっている。
『The Market of Light』はUnreal Engine 5の早期アクセスビルドから制作された、短篇探索ゲームだ。プレイヤーは発光する昆虫のホタルとなって、市場を探索し光の玉を収集する。マップは、街のなかのちょっとした市場ではあるものの、ホタルにとっては広大なフィールドだ。精細に作りこまれたワールドを飛び回って探検できる。
本作はUnreal Engine 5の技術デモということで、最新のゲームエンジンの機能を活かした表現を楽しめる。Unreal Engine 5で追加された仮想化ジオメトリシステム「Nanite」と完全に動的なライティングを可能にする「Lumen」、そして最新のエフェクトツール「Niagara」の3つの機能を活用している。ゲーム中に見つかる3色の光の玉も「Nanite」、「Lumen」、「Niagara」を表しているそうだ。
「Nanite」はポリゴン数を削減せずとも、その時々で必要なポリゴン数へ自動的に変換して表示するためのシステム。リアルタイムで表示可能になるまでポリゴン数を削減する手間が省ける技術だ。マップを探索するなかで、「Nanite」によるLODモデルの切り替えがない。市場の野菜や果物など多くのオブジェクトは、どこまで近づいても、どこまで離れても、リアリティを保っている。精密なアセットをホタルの目線から遠近両方で鑑賞可能だ。
さらに「VirtualTexturing」技術がカメラの視点距離に応じた解像度の切り替えを可能にしており、至近距離でも超高解像度テクスチャを使用することでハイディティールを実現している。「Nanite」と「VirtualTexturing」の組み合わせにより、1つのマップ中に約49億ポリゴン、8Kテクスチャ253枚、4Kテクスチャ1065枚が存在する構成になっているそうだ。
「Lumen」は、直接光だけでなく間接光を考慮したライティングの計算をリアルタイムで実行できるシステム。この機能によって、マップ内の光環境がシームレスに移行する。お祭りのように賑やかな雰囲気の昼の時間から、静まり返った夜の時間帯へリアルタイムに変化する様子を楽しめるはずだ。また「Niagara」による進化したエフェクト表現も本作の見どころのひとつ。メッシュ形状を利用したエフェクトや、パーティクルが障害物を避ける挙動などを実現している。
開発手法も少人数・短期間を意識したものとなっているようだ。背景の大部分は3名のアーティストが制作。アセットはMegascansアセットを数多く使用しているとのこと。また、「Nanite」によってポリゴン数の制限も取り払われているため、映画向けに販売されているアセットもリダクションせずにそのまま配置されているそうだ。
本作をリリースした株式会社ヒストリアは、Unreal Engineを専門に扱っているソフトウェア開発会社。Unreal Engine の学習を目的とした作品制作コンテスト「UE4ぷちコン」や、「出張ヒストリア! ゲーム開発勉強会」を主催している。
株式会社ヒストリアは、Unreal Engine 5 が発表された時の興奮から、その勢いのままに本コンテンツを作成したとのこと。Unreal Engine 5で制作されリリースされたゲームは現状ではかなり珍しい。「Nanite」や「Lumen」などの技術による表現をゲーム作品で体感できる『The Market of Light』は、Steamにて無料で配信中だ。