1日限定セールで即完売の「Steam Machines」、海外ではOS性能の比較やマシンの意義を問う報道も
Steam Machineを販売するSyberは11月24日、オンラインストアにて1日限定のセールを行った。Steam MachineとはSteamOSを搭載したゲーミングPCだ。Windowsを搭載せずSteamを楽しむことに特化したハードウェアとなっている。今回セール対象になった3タイプのSteam Machineなかで、特に注目を集めたのは、エントリーモデルとされる「Steam Machine I」が499ドルから299ドルにまで値引きされ、“40%オフ”のセールになっていたことだ。海外メディアなどで紹介されすぐに売り切れてしまったが、発売してまだ1か月弱のハードウェアであるSteam Machineが大幅に値引きされていたことは、少なからずユーザーに驚きを与えたようだ。
しかし、今回のようなセールはさほど珍しいことではない。海外では毎年ブラックフライデーの時期になると大規模なセールが実施される。海外でも好調な売上を見せるPlay Station 4も、50ドルの値引きを行う。また、今回SyberはSteam Machineにかぎらず他のタイプのPCもセール価格で販売していたという背景も存在する。以上のことを踏まえてもSteam Machineがセール対象だったことは、それほど驚くべきことではない。それでも衝撃を受けたユーザーがいるのは、Steam Machineに対する懐疑的な報道が続いているからかもしれない。
疑問を呈するメディア
Ars TechnicaはGeekbench 3を用い、デュアルブートでのWindows 10とSteamOSの比較を行った。グラフィック設定「ウルトラ」でスペック要求が高いゲーム『Middle-Earth: Shadow of Mordor』と『Metro: Last Light Redux』を動作させたところ、両作ともSteamOSはWindows 10よりもフレームレートが落ちてしまう結果となった。また、Valveが開発した『Portal』『Team Fortress 2』『Left 4 Dead 2』『Dota2』といったタイトルでもSteamOSはWindows 10にフレームレートで敗北する結果となった。フレームレートはゲームプレイにおけるひとつの要素であり、今後のアップデートによって向上する可能性も十分に考えられる。しかし、Valveの開発したタイトルでSteamOSが劣っていたことはインパクトのある結果だったと言えよう。
また、IGNは「Steam MachineはPCゲーマーを救わない」という記事を掲載している。IGNはSteam Machineは「値段の高さ」「拡張性のリスク」「利便性で他OSに劣る」「同ValveのSteam Linkが大きなライバルになる」という理由をあげSteam Machineを買うメリットが見当たらないと評している。
今回のセールは“単なるブラックフライデーのセール”という捉え方もできる。しかし発売して1か月であることや懐疑的な報道が続いていることによって、よりネガティブな方向に解釈されているようだ。Valveの今後の働きかけがSteam Machineの命運を握っていることは間違いないだろう。