『ポケモンGO』運営元が、ユーザーとのコミュニケーション改善を約束。「ポケストップ/ジムアクセス可能距離短縮騒動」を反省する

Nianticは9月1日、『ポケモンGO』における今後の運営の方針を表明した。その中でユーザーとのコミュニケーション面の改善を約束している。その背景には、「アクセス距離短縮騒動」への反省があったようだ。

Nianticは9月1日、『ポケモンGO』における今後の運営の方針を表明した。その中でユーザーとのコミュニケーション面の改善を約束している。その背景には、「アクセス距離短縮騒動」への反省があったようだ。公式サイトのブログ内で説明されている。

まずNianticは、ポケストップとジムへアクセスできる距離が今後も80メートルのままになることが改めて明言した。『ポケモンGO』では、ポケストップやジムを回すことで、アイテムやギフトを入手できる。またジムではジムバトルにも参加可能。当初、これらの施設には、プレイヤーの現在地から半径40メートル以内ならばアクセスできる仕様であった。


Nianticは昨年、新型コロナウイルス感染拡大を受け、『ポケモンGO』が自宅でも遊びやすくなるように仕様変更。ポケストップやジムへのアクセス可能距離を、それまでの距離の倍である、80メートルまで延長した。つまり、コロナ禍に入ってからの調整によって、ジムやポケストップをまわすために、以前ほど施設に近づかなくてもよくなったわけだ。 おかげで、一部ユーザーは、通常であれば家からギリギリ届かないポケストップやジムにも、アクセスできていた。

このアクセス可能距離の延長措置はユーザーに大好評であった。Nianticもこの仕様が恒久的なものであると当初予告していたが、昨年10月に恒久的であるという告知を撤回し「一時的なものである」と表明。さらに今年6月に入り段階的にアクセス可能距離を40メートルへ戻すと発表し、アメリカおよびニュージーランド向けに仕様戻しを実施したことで批判が殺到。インフルエンサーらを中心とした大規模な署名活動が展開され、8月末に最終的にアクセス可能距離は40メートルから80メートルへと再び変更されることとなった(関連記事)。

抗議活動は、アメリカのTwitterトレンドにも顔を出すほど大規模なものであった。その原因のひとつとして考えられるのが、Nianticがコミュニティの声に、“耳を貸していないように見えた”こと。ポケット/ジムのアクセス可能距離について、80メートルのままにしてほしいとの要望が根強く寄せられていたものの、Nianticはしばらく反応を見せなかった。メディアなどを通じて40メートルに戻す理由説明などはしていたものの、コミュニティとの対話はなかったわけだ。

https://twitter.com/REVERSALx7/status/1432723125876273159


最終的にNiantic側がユーザーの要求を聞き入れる結果となったが、ユーザーとしては無視されていた期間の疑念は簡単には拭えない。そうした点を踏まえて、Nianticはユーザーともっとコミュニケーションをとることにしたのだろう。具体的な試みとしては、10月からは隔月でディベロッパーダイアリーなるものを発行し、ゲームの最新の優先事項やイベント、そして機能などを紹介。さらに、Nianticとコミュニティリーダーとの定期的な対話の機会を設けるそうだ。また不具合群については、「確認されている不具合」ページに掲載されているが、今後は同ページの改善に取り組み、不具合の状況などがわかりやすく伝えていくとのこと。つまり、コミュニケーションの頻度を高めつつ、不具合などの状況を可視化することで、不満解消をねらうのだろう。


『ポケモンGO』は世界的なヒットタイトルで、ユーザー数も非常に多い。一方で、Nianticの運営手法に疑問を持つユーザーも少なくない。ゲーム内には不具合が多く、イベント時にトラブルが発生することもままある。正規ユーザーが誤ってBANを受けるケースもあり、サポートもあまり厚くないことから、ディープなユーザーほど不満を抱きやすい。ユーザーの多さや位置情報ゲームという特異性の影響も大きいかと思われるが、ともかく運営面ではユーザーの評判はあまりよろしくない。前述の抗議活動大規模化の背景には、そうしたもともとの不満も関係しているのだろう。

しかし今回、Nianticはコミュニケーションの改善を宣言している。言及されたのは、定期報告の開始や不具合リストの改善に絞られているが、前進であることは確か。魅力あるゲームなだけに、今後の改善に期待したい。また今回の発表にあわせて、地域ごとにボーナスを個別調整する運用の廃止などが告知されている。詳しくは公式記事をチェックしてほしい。

Ayuo Kawase
Ayuo Kawase

国内外全般ニュースを担当。コミュニティが好きです。コミュニティが生み出す文化はもっと好きです。AUTOMATON編集長(Editor-in-chief)

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