ファンタジー村作りSLG『Distant Kingdoms』Steam早期アクセス配信されたばかりにも関わらず、開発スタジオ閉鎖。先行きは暗く
イギリスを拠点とするインディースタジオOrthrus Studios設立者であるOliver V. Smith氏は8月4日、同スタジオを畳んだことをSNSを通じて明からかにした。Orthrus Studiosは閉じられ、Smith氏を含む10名のスタッフは新天地を探すこととなった。GamesIndusty.bizが報じている。
Orthrus Studiosといえば、今年5月に『Distant Kingdoms』のSteam早期アクセス配信を開始したばかり。同作は、ファンタジー世界を舞台とする街づくりシミュレーションゲームだ。人類・ドワーフ・エルフ・オークといった種族による、平和的な文明をいちから作り上げることを目指す。何もない土地に住居や市場などを作り移民を呼び込み、製材所や井戸など資源を得られる施設も用意して集落を形成するのだ。住民からは税金のかたちで毎月収入を得られる。住民は、移住してくるものもいれば出ていってしまうものもいるため、安定した収入を得るためにも彼らの幸福度に気を配る必要がある。
ファンタジー色の強いシミュレーションゲームとして期待を集めていた『Distant Kingdoms』。しかし発売後の評価はあまり芳しくなかった。世界観については一定の評価を得ていたものの、操作が煩雑であったり、街の規模が大きくなった時の最適化がされていなかったり、起動時の重さについてなど、さまざまな課題が指摘されていた。
開発元もそうした問題を認識しており、早期アクセス配信翌月にロードマップを公開。「World & Colour」と呼ばれるUpdate 1は、シナリオマップや新たなアイテムを実装。装飾向けの建築システムを新たに導入しつつ、パフォーマンス面の改善に手を入れた。「Exploration & Adventure」と銘打たれたUpdate 2では、物足りないとされていた冒険および探索システムが根本的に見直される予定であった。冒険者が世界へ与える影響を大きくするほか、探索要素そのものを深化させ、報酬品の強化などを実施する予定だった。
さっそく6月24日にUpdate 1が実装され、7月31日にはバージョン1.5アップデートが配信。倉庫の仕様が変更されたほか、交易ルートにもテコ入れが図られた。そのほかにも、細かなバグ修正アップデートが配信されており、開発元のゲームをサポートしようとする姿勢が垣間見えた。
しかしながら、8月4日に突如不穏なメッセージがSteamコミュニティに投稿された。開発ディレクターのOliver V. Smith氏が、ゲームを遊んだユーザーに感謝を述べるものである。「今までありがとう」と告げるのみで、その真意は見えないメッセージであったが、その裏でスタジオは解散することになっていたようだ。 Smith氏はLinkedInやTwitterにてスタジオを畳んだことを報告。同氏は『Distant Kingdoms』に懸命に取り組んできたが、頑張りと、良い製品を作ることだけでは十分ではない時もあると語った。自身と元スタッフは新たな職を探しているとし、仕事探しもおこなっていた。
『Distant Kingdoms』のSteamストアページについているレビューは200件弱とそれほど多くなく、出だしのつまずきを考えても、10名のスタッフをまかないきれるほどの売り上げではなかったと推察できる。同作については、パブリッシャーとしてKasedo Gamesがついている。パブリッシャー側の決断も、スタジオ閉鎖に絡んでいる可能性はありそうだ。『Distant Kingdoms』の今後について、今のところ公式な声明は出されていない。Update 2は実装されておらず、正式リリースもまだの状態。正式リリースまで1年を見込んで早期アクセス配信が開始されたが、先行きは極めて不透明である。
『Distant Kingdoms』は引き続きSteamにて早期アクセス配信中。ただし、サポートがなくこのまま正式リリースに至らない可能性もあるので、購入する際には十分注意してほしい。