『PUBG Mobile』のスキンに「自分のゲームの名前を盗まれた」としてインディー開発者が怒り。『PUBG Mobile』側は釈明し、スキンを改名予定
『PUBG Mobile』運営元は7月23日、同作におけるスキン「Hypnospace Diva」を改名する予定があることを明かした。背景には、インディーゲーム開発者からの申し立てがあったようだ。「Hypnospace Diva」は、7月22日に『PUBG Mobile』向けにアナウンスされた新スキン。ビビッドなネオンカラーと、金メッキコーティングされたようなボディが特徴的なスキンとなっている。ところが同スキンが発表されたのち、インディーゲーム開発者のJay Tholen氏が反応。『PUBG Mobile』が、Tholen氏の作品から「名前を盗んだ」として批判の声を挙げた。
Tholen氏が名前を盗まれたと主張するのは、2019年にリリースされたポイントアンドクリックアドベンチャー『Hypnospace Outlaw』だ(関連記事)。90年代インターネットを舞台に、ネットワークを探索し、規約に違反する者を見つけて逮捕する作品となっている。サイケデリックでビビッドなビジュアルが目を引くゲームで、Steamストアページでは1700件以上のユーザーレビューから「圧倒的に好評」との評価を得ている。
Tholen氏の作品『Hypnospace Outlaw』と『PUBG Mobile』における「Hypnospace Diva」、たしかに両者の名前は似かよっている。さらにTholen氏は、件のスキンが『Hypnospace Outlaw』のキービジュアルからカラーリングを選んでいるようだと指摘。意図的に『Hypnospace Outlaw』との関連をにおわせる名称・デザインになっていると非難の声を挙げた。
Tholen氏は、普段あまり事を騒ぎ立てることはないとしつつ、自分たちの名称が“ギャンブル”に結びつけられたくないと主張。すでに『Hypnospace Outlaw』を知っているユーザーが「Hypnospace Diva」スキンを見た場合、自分たちが下品な取引をしたと思われる可能性があるのが不本意だ、と苛立ちをあらわにしている。『PUBG Mobile』の開発・運営元であるテンセントが中国企業であることから、本件について働きかけることは難しく運営側からの削除も望み薄だとコメント。何らかの法的措置も辞さない構えを示していた。
その後、7月23日にTholen氏が最新の情報を告知。『PUBG Mobile』運営元から「Hypnospace Diva」にまつわる説明があったと伝えている。Tholen氏に送られたTwitterのDMによれば、「Hypnospace Diva」はもともと中国語版にて「炫金歌姫」との名称で開発されており、英語版に直訳すれば「Golden Diva」に相当する名称だったという。この時点では、デザイン・名称ともにTholen氏の作品を参照することはなかった。ところが、同スキンが英語版向けにローカライズされる際、担当者がスキンを見て『Hypnospace Outlaw』を想起。単純にGolden Divaと訳すのではなく、Tholen氏の作品にあやかって「Hypnospace Diva」と命名するに至ったのだという。運営側は同判断について、「結果や影響を考慮していなかった」と釈明しており、今後スキンについて改名の予定があることを伝えている。
Tholen氏は運営側の説明に納得し、「Hypnospace Diva」の改名を歓迎しているようだ。同氏のフォロワーは1万人におよぶとはいえ、事の発端となったツイートの拡散は2000リツイート程度と、決して大きな発信だったとはいえない。ただ、IGNやKotakuといった大手メディアに取り上げられていき、広く知れ渡ることとなった。小規模なインディークリエイターの声がテンセント系列の大規模な運営に届いた、珍しい事例といえそうだ。