基本プレイ無料の第二次世界大戦FPS『ENLISTED』紹介。分隊全員をプレイヤーが操作できる対戦型MMOシューター
DMM GAMESは今年5月、第二次世界大戦を舞台とした基本プレイ無料のオンラインFPS『ENLISTED(エンリステッド)』をPS5向けに配信開始した。7月中旬にはPC向けにも配信されるという。このたび、PC版(DMM GAME PLAYER)のゲームデータをDMM GAMESより提供頂いた。本稿ではPC版の先行プレイをもとにゲームを紹介していく。
舞台は第二次世界大戦
『ENLISTED』は第二次世界大戦を舞台とした作品で、実在する銃火器や当時の服装を着たキャラクターが登場するなど、リアル志向なFPSゲームとなっている。開発企業はDarkflow Software。パブリッシャーはGaijin Entertainmentだ。日本では『War Thunder』の開発会社としてよく知られており、本作にも戦車や爆撃機などが多数登場する。
【UPDATE 2021/7/19 20:00】
開発元スタジオ/パブリッシャーについて修正
『ENLISTED』は「モスクワの戦い」や「ノルマンディ侵攻」といった、第二次世界大戦の有名な戦いをモチーフとした戦場に、最大20人(10対10)のプレイヤーが、「連合」と「枢軸」に分かれて戦闘に参加する。AIを含めると最大180人のキャラクターによる大規模な戦闘を楽しむことができ、戦績に応じ得られるポイントを使用して新しい装備をアンロックしたり、分隊を育成したりすることが可能となっている。
分隊単位でのゲームプレイ
『ENLISTED』の最大の特徴は、分隊単位でのゲームプレイにある。プレイヤーは2~9人のキャラクターで構成された分隊を選択し、その中の一人として戦いに参加する。プレイヤーが操作していない分隊メンバーはAIによって操作され、自動で戦闘をおこなう。プレイヤーは任意のタイミングで分隊の他メンバーにスイッチできるほか、分隊メンバーが生きている場合は、操作しているキャラクターが倒された後にもスイッチが可能になっている。
同システムのメリットとして、プレイヤーのFPSスキルに左右されず比較的長時間に渡って戦場の最前線で戦うことができるということが挙げられる。プレイヤーは倒された後、所定のスポーンポイントから復活するというのがこういったゲームの定石。特に広いマップの場合はスポーンポイントと戦闘が発生している場所の距離が遠くなってしまう。つまり、移動時間、即ち「非戦闘時間」が長いという対戦型FPSとしての弱点とも言える時間が発生する。ゲームに不慣れな時期はひたすら戦場を往復しているだけでマッチが終わってしまったという経験をお持ちの方も少なくはないだろう。『ENLISTED』の分隊メンバーへのスイッチは、そうした対戦型FPSにおける弱点を克服するための新たなアプローチであり、プレイヤーが長時間に渡って戦場に影響を与え続けることができるという点で、今までの大規模FPSにはあまりない要素といえる。
『ENLISTED』には、「Squadsモード」「Lone Fightersモード」の二種類のマッチが用意されている。「Squadsモード」は、分隊メンバーにスイッチが可能となる基本モード。「Lone Fightersモード」は、分隊メンバーへのスイッチがおこなえず、使用していたキャラクターが倒された後はマッチが終わるまでそのキャラクターが復活できないゲームモードである。マップが戦闘画面に表示されなくなるなどUIが制限された状態で戦うことになる。フレンドリーファイアもある、リアリティを追求した上級者向けのモードだ。
このほかに、『ENLISTED』では分隊の育成が可能になっている。戦闘に参加した分隊は「分隊ポイント」を獲得し、そのポイントを使用して装備の改良や分隊のアップグレードなどがおこなえる。分隊メンバーごとにパークの設定が可能になっているほか、装備のインベントリ枠の増加、武器のアップグレードなどもおこなうことができる。分隊ごとに所属する兵士の種類や人数、扱うことが出来る武器が異なっており、新たな分隊を獲得するには戦闘によって得られる「分隊ポイント」とは別の「キャンペーンポイント」を用いてアンロックするか、有償の分隊パックを購入する必要がある。また、ビークルは分隊に所属しているため、誰でも使える状態で戦場にスポーンしない。つまり、戦車や航空機を扱うには専用の分隊をアンロックする必要があるのだ。
作り込まれたマップと豊富なキャンペーン報酬
続いてマップとキャンペーンについて紹介していく。現在、『ENLISTED』には三つのマップとキャンペーンが存在する。それぞれの特徴やキャンペーンの報酬などを簡単に紹介していこう。
一つ目は「モスクワの戦い」キャンペーンだ。1941年10月から1942年1月にかけてソ連軍とドイツ軍によっておこなわれた戦闘をモチーフとしたマップ、およびキャンペーンで、初期状態ではこのキャンペーンが選択状態となっている。すべてのマップに対して言えることだが、1回のマッチでプレイする戦闘エリアは、広大なキャンペーンマップ全体のごく一部。同じマップでもマッチごとにまったく雰囲気の異なるマップで遊んでいるかのように感じられるのが『ENLISTED』の特徴だ。「モスクワの戦い」キャンペーンマップの場合は、雪に覆われた平原や木が生い茂った見通しの悪い森、見通しの良い川周辺のエリアなどのマップ上の一部が戦闘エリアとなる。キャンペーンではPPD-34/38が使用可能な歩兵部隊が連合側、MP28が使用可能な歩兵部隊が枢軸側の最初の報酬として用意されている。
二つ目は「ノルマンディ侵攻」キャンペーン。1944年に連合軍によっておこなわれた、ドイツ占領下にある北西ヨーロッパへの侵攻作戦をモチーフとしたマップとキャンペーンだ。「ノルマンディ上陸作戦」が有名なこともあり、マップには沿岸部からヨーロッパの市街地に見立てたオブジェクトが配置されている。キャンペーンにはM5A1戦車が連合側、Sd.Kfz.234/2が枢軸側にレベル2の報酬として用意されている。
三つ目は「ベルリンの戦い」キャンペーン。1945年にソ連とドイツ軍によってドイツ首都のベルリンでおこなわれた戦闘をモチーフとしたマップとキャンペーンだ。先述の二つのマップとは異なり、市街地がメインとなっており建物内での戦闘も多い。キャンペーンにはモシン・ナガンM1891/30が連合側、kar 98kが枢軸側のレベル2報酬として用意されている。
また、現在「チュニジアの戦い」が新たなマップ、キャンペーンとして開発中だ。トレイラーなどはまだ公開されていないが、史実の戦いがモチーフとなるため北アフリカをイメージさせるマップになることが予想される。
どのマップも作り込みにリアリティがあり、加えて実在の兵器やキャラクターの服装も史実をしっかりと再現されている。また、乗り物も同社が『War Thunder』などで培ってきたモデリング技術を存分に発揮しているため、リアルな見た目をしっかりと引き継いでいる。それらに加えて『ENLISTED』ならではの操作性が追加されている。
同社の『War Thunder』や、『ENLISTED』の競合タイトルである、Electronic Artsが販売する『バトルフィールド』シリーズの戦車に乗車した際の視点は、一人称のほかに戦車後方からの三人称視点が利用できるため、外の様子を逐一確認することができる。しかし、『ENLISTED』は戦車に搭乗した後も一人称視点のみで、二人での運用となる連合側のT-60の場合、砲塔と側面の覗き窓の二か所からでしか外の様子を確認することができない。実際の戦車の運用とまったく同じ状況で、視野の狭い砲塔から索敵する必要がある。
リアリティが生む戦闘の緊張感
ゲームルールはいわゆる「コンクエスト」形式と、攻防に分かれて陣地を奪い/守り合う「ラッシュ」形式の二つで、ランダムにマッチングがおこなわれる。対戦が始まると、まず聞こえてくる「音」に驚いた。キャラクターの叫び声や銃声、爆発音の遠近感が非常にリアルで、さらに音の聞こえてくる方向もしっかりしていると感じた。特に銃声は弾丸の風切り音まで聞こえてくるため、本能的な怖さを感じるほどだ。また、敵味方の識別に関しても、味方のキャラクターの頭上に逆三角形のマークが出るのみでアウトラインなどは一切ない。「Squadsモード」に限って言えばフレンドリーファイアは無効だが、「Lone Fightersモード」の場合はフレンドリーファイアが有効なため、咄嗟に味方を撃つ危険性がある。リアルな作りをしたゲームであるがゆえの悩みだろう。ただ、慣れてくれば服装の違いで敵味方の区別が付くようになるかもしれない。
「競技系FPS」にはない魅力も
『ENLISTED』には、ポイントで分隊を育成するシステムのほかに、バトルパスが用意されており、デイリー任務をこなすことで新たな兵士や武器が入手可能になる。プレイヤースキルや戦闘知識だけでなく、強い武器や強い兵士を開放し、育成して戦闘で相手に対して優位に立つというRPGのような要素も『ENLISTED』の一つの注目ポイントと言えるだろう。
基本プレイ無料FPS『ENLISTED』は、現在国内向けにPS5版が配信中。またPC版のリリースは今年の7月中旬が予定されている。PC版は事前登録もおこなわれているので、気になる方はぜひ事前登録してみてはいかがだろうか。