『ファイナルファンタジーVII リメイク インターグレード』追加ストーリーの主役は、なぜヴィンセントではなくユフィなのか。開発者が説明
先月6月にPS5向けに発売された『ファイナルファンタジーVII リメイク インターグレード』。PS5向けの最適化が実施されたほか、新たにユフィのエピソードを収録している。クラウドたちが神羅と戦う物語に並行し、ユフィがミッドガルに潜入。もうひとつの戦いが描かれる。相棒キャラとしてソノンも登場するなど、短いながらも白熱のドラマが展開される「FF7R EPISODE INTERmisson」であるが、そもそもなぜ主役はユフィになったのだろうか。The Gamerのインタビューにて共同ディレクター(シナリオデザイン)の鳥山求氏が回答している。
ユフィはオリジナルの『ファイナルファンタジーVII』では、任意で加入する仲間のひとり。ウータイ出身のシノビだ。隠し仲間キャラとも呼ばれている。ワールドマップの森の中を歩いていると、ユフィが謎のニンジャとして出現。倒すことでイベントが発生し、任意の選択肢を選んでいき、うまく好感度を上げることで仲間となる。仕掛けが多く、初見プレイヤーにとってはトリッキーながら楽しいイベントだろう。ストーリーで強制的に加入するわけではなく、このイベントを知らずクリアした人も当時はいたことだろう。
オリジナル版の任意加入キャラはもうひとり存在する。ヴィンセントだ。ヴィンセントは、ニブルヘイムの神羅屋敷の地下室に入ることで仲間になるキャラ。金庫を開けてボスを倒す必要があるなど、こちらもやや凝った構造となっており、謎解きで頭をひねったり戦闘をこなしたりする必要がある。
『ファイナルファンタジーVII リメイク インターグレード』の追加エピソードにて、任意加入キャラの2名のうちなぜユフィが選ばれたのかと、The Gamerは鳥山氏に訊いたわけだ。この問いに対して鳥山氏は「ヴィンセントはまだ神羅屋敷の地下で眠っているから」と答えたようだ。そもそも、ユフィはウータイ出身ながら各地で旅をしていたという経歴を持つ。それゆえ、バックストーリーを拡張しやすいキャラになっているという。マテリアハンターとして旅をする中で、ウータイ暫定政府の命を受けてミッドガルへ潜入するという流れ。ゲーム本編の設定を考えても、それほど不自然さはないだろう。
一方で、ヴィセントはミッドガル事変時点ではまだ神羅屋敷の地下で眠っている。タークスとしてのキャリアを持つ彼は、宝条博士に翻弄されることになり、ルクレツィアへの贖罪の想いから神羅屋敷地下室の棺にて眠りにつく。それからオリジナル版にてクラウドたちが彼を起こすまで“ずっと眠り続けていた”という設定になっている。オリジナル版数年前を描く『クライシスコア ファイナルファンタジーVII』でも、ヴィンセントは眠ったままであった。たしかに、ヴィンセントがミッドガル事変の際に居合わせていたとなると、オリジナル版とはっきり矛盾する。ミッドガルを絡ませないとしても、眠っているはずのヴィンセントを叩き起こす展開はなかなかリスキーだろう。
新エピソード「FF7R EPISODE INTERmisson」では、ユフィの陽気さの裏にある、ミッドガルの事件に抱く想いを描写できたとしており、今後の彼女の物語にもつながっていくと、鳥山氏は語っている。たしかにユフィはもともと人気のキャラクターであり、彼女のかわいらしさと陰の部分を描くという意味では、新エピソードは大きく機能したことだろう。ユーザーの関心を引きやすいというだけでなく、物語を語る面でもユフィの抜擢は『ファイナルファンタジーVII リメイク』に合っていたのだろう。
なお鳥山氏は、『ファイナルファンタジーVII リメイク』において関連作がどのような扱いになるかについても語っている。『ファイナルファンタジーVII』はオリジナル版だけでなく、『クライシス コア ファイナルファンタジーVII』『ビフォア クライシス ファイナルファンタジーVII』『ファイナルファンタジーVII アドベントチルドレン』『ダージュ オブ ケルベロス ファイナルファンタジーVII』といった関連作品が存在し、世界やキャラが複雑につながっている。リメイク版はオリジナルをベースとしながらも、『ファイナルファンタジーVII』ユニバース作品の要素を結集させるそうだ。一方で、それらの作品を知らない新規ユーザーに、『ファイナルファンタジーVII』の世界観やキャラクターの深さや素晴らしさを伝えていくようにも務めていくとのこと。
リメイク版一作目では、すでに関連作にて活躍したキャラが登場。オリジナル版に留まらない演出が盛り込まれていたが、今後のリメイク版では、さまざまなキャラが登場する集大成的な展開になるのだろう。
ユフィの活躍が描かれる『ファイナルファンタジーVII リメイク インターグレード』は、PS5向けに発売中だ。本編でも、関連作のキャラがとあるボスとして追加されているので、ファンはチェックしてみるといいだろう。