『Dead by Daylight』スキルレーティング制マッチメイキングテスト開始。「格差マッチ」問題は解決されるのか
Behaviour Interactiveは6月10日、『Dead by Daylight』にてスキルレーティング制マッチメイキングのテストを開始した。対象となるのは PC版および家庭用ゲーム機版の全ライブサーバー。期間は数日間を予定している。
スキルレーティング制は、ランク制に代わる新たなマッチング方式として考案された。『Dead by Daylight』では、プレイヤーの習熟度を示すランクという指標が用意されており、20段階で腕前が表されるようになっている。プレイヤーは生存者として脱出に貢献したり、殺人鬼として生存者の脱出を阻止したりすることで、ポイントを獲得。戦績によってポイントが増減し、プレイヤーの腕前を示す指標として働いている。そして試合においては、このランクが同程度のプレイヤー同士がマッチングするシステムとなっている。
一方、ランクマッチにおいては、必ずしも同じ腕前のプレイヤーがマッチングするとは限らない状況が続いていた。同問題の原因としてBehaviour Interactiveは、ランクの高低がプレイ頻度の多寡に依存しがちであるためだと説明。マッチング時に実力格差が生まれやすい現状を課題として捉え、新たなマッチング方式を考案した。それがスキルレーティング制というわけだ。スキルレーティング制は、プレイヤーが直接確認することができない隠しステータスによりプレイヤーの腕前を査定。ランクに代わる新たな数値をもとにプレイヤー同士をマッチングさせるシステムとなっていた。
スキルレーティング制マッチメイキングは、2020年8月に満を持して実装された。ところが実際に稼働してみると、実力差がある相手とのマッチングが絶えない状態が発生。数試合を経た後になっても、実力に見合ったレートにならなかったと、ユーザーコミュニティで多くの報告があげられていた。こうしたフィードバックを受け、Behaviour Interactiveは実装からわずか1週間でスキルレーティング制マッチメイキングの無効化処理を実施。コミュニティからのフィードバックや収集したデータを考慮した結果、同方式の実施を停止したと伝えていた。ただし、以降もスキルレーティング制マッチメイキングはテストというかたちで実施。今年3月にもテストが施行され、フォーラムで活発にユーザーが意見を交わしていた。今回のテストは、昨年の実装・停止以来二度目のテスト運用ということになる。
スキルレーティングは殺人鬼と生存者で分かれているのが特徴だ。殺人鬼の場合、キャラクターごとに個別のレーティングが設定される。特定のキャラクターが苦手だったり、得意だったりする場合、それに応じたレーティングが設定されるわけだ。逆に生存者の場合は、キャラクターごとの性能差がないため、全キャラクター共通のレーティングになるという。またマッチングの待ち時間について、レーティング最上位/下位というスキルレーティングの両端にいるユーザーの場合は、多少時間が延びる場合があるとのこと。レーティング制実装にともない、殺人鬼はロビー内でキャラクターを変更できなくなった一方、生存者はキャラクターやロードアウトを変更可能。マッチした仲間に合わせて自分のキャラクターやロードアウトを変えるのはチームでの戦略の一部である、との見立てが公式より伝えられている。
なお、最近プレイしていなかったユーザーや『Dead by Daylight』を始めたばかりのユーザーは自身のスキルレーティングが落ち着くまでやや時間がかかるとのこと。本作を始めたばかりのプレイヤーは、約10マッチでスキルレーティングが測定されて安定するそうだ。また生存者パーティは、パーティ内のスキルレーティングの平均値でマッチングを検索する。ただしこれは最終決定ではなく、生存者パーティの戦績とシステムの予測を比較し、より平等なマッチングを実現するために調整する可能性があるとのこと。
また現在のところ、生存者パーティの存在はスキルレーティングの変動具合に影響しない。理由としては、スキルレーティングの算出システムが複雑さを増すわりに、マッチング精度の向上に寄与しないためであるという。今後状況をモニタリングしたうえで変更する可能性はあるとのこと。
現状、SNSにおけるスキルレーティングの賛否は分かれている。レーティングが働いていても格差のあるマッチに遭遇したと指摘するユーザーも少なくない。本テストの結果を受け、Behaviour Interactiveがどう開発を進めていくか注目したい。